salitoté(さりとて) 歩きながら考える、大人の道草ウェブマガジン

そらのうみをみていたら。

2010-11-14
「後悔しない」ひとりよがり

「やらずに後悔するくらいなら、やって後悔したほうがいい」

これは私の生きたい生き方のひとつ。

だから、バーゲンでどっちの色か迷ったら両方の色を買ってしまうし、お腹がすいていると食べられる以上のおかずやデザートを買ってしまうし、住みたい土地に出会ったら更新直後でも引っ越しする。

結局、服は着ずにクローゼットの荷物になっているし、お腹がいっぱいで翌日に持ち越しておいしくなくなったりするし、更新料が無駄になったりする。「やって後悔したほうがいい」にも関わらず、だれに勝とうとしているのか、負けず嫌いな私は自分で決めたことだからと後悔しなかった。

ほんとは「後悔したほうがいい」ことを意地でも「後悔しない」としてきたツケが、ついにまわってくる日が訪れた。

今回の特集でも掲載したスピリチュアルに陥ったことだ。

あまり思い出したくなかったけど、対談でいろいろ過去の時間を辿ってみると、そのときの思考は「何様だ!」だ。

感謝も祈りも畏怖も命に向き合うことも、生きていて当たり前のことばかりなのに、「いいことをしている」と思ってしまっていた。

「いいことをしている」という自覚ほど、たちの悪いものはない。

どれもこれも、「後悔」することばかりで、ほんとに嫌になった。

そんな自分をもてあまして、友人知人に「後悔した」と話しているうちに、「後悔したと思える経験をしたことは、後悔してないかも」と言うようになった。

今度は「後悔したことを後悔しない」だ。

誰に言い訳をしているのだ、私は…。

『いいことをしていると自分が思っているときには、だいたい悪いことをしていると思うとちょうどいいというふうになっているんじゃないでしょうか』(「吉本隆明の声と言葉。」)

明日から、朝礼で唱えよう。

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魚見幸代
魚見幸代

うおみ・ゆきよ/編集者。愛媛県出身。神奈川県在住。大阪府立大学卒業後、実家の料理屋『季節料理 魚吉』を手伝い、その後渡豪し、ダイビングインストラクターに。帰国後、バイトを経て編集プロダクションへ。1999年独立し有限会社スカイブルー設立。数年前よりハワイ文化に興味をもち、ロミロミやフラを学ぶ。『漁師の食卓』(ポプラ社)

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