2016-10-25
私の東京周辺物語 2
〜千歳船橋で会社設立〜
1999年12月15日、30歳になったこの日に会社を設立した。
まわりで同じような仕事をしている人は、「フリーランス」つまりは個人事業主っていう感じの人ばかりで、ひとりで会社にしている人はいなかった。
当時は資本金が必要だったこともある(有限会社で300万)。
でも、なぜか、わたしには会社にするということしか頭になかった。
(300万円があるということを証明すればよかっただけなので、資本金は親に借りてすぐ返した)
なぜ会社にしようと思ったのか、自分でもよくわからない。
結婚しても、子どもが産まれても仕事を続ける場所をつくるには、会社がいいと思ったのかもしれない。
名乗るときのシチュエーションも気になっていた。
「ライターの」魚見です。
「編集者の」魚見です。
その肩書きでいくのは、ピンとこない。
会社名には「ブルー」を入れることにした。海が好きだから。
あとは…。
その頃、『スターウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』が公開されていた。わたしはスターウォーズにはあまり興味がなくて観たことがなかったが、そのときは気が向いた。
案の定、アナキン・スカイウォーカーにハマった。
彼の名前から勝手にスカイをもらって「スカイブルー」にした。
設立地はそのとき住んでいた千歳船橋。
その前にいた井の頭公園の小さな小さなワンルームは、下北沢の人がよく来るようになり、大家さんからのクレームで、泣く泣く引っ越した。
井の頭公園から離れたくなかったけど、今度は少し広い部屋がいい。三鷹台、久我山、永福町…。井の頭線の駅をひとつずつあたった。予算があわず、小田急線は好きではなかったのに、流れ流れて千歳船橋へ行き着いた。古い鉄筋コンクリートの1LDK。
リビングの片隅に机と椅子を置き、大きなMacを買った。
千歳船橋でのことは、あまり覚えていない。
ただ、ひとり暮らしの仕事場では、打ち合わせもできない。
印刷屋さんにも来てもらえない。その環境にイラついていた。
事務所をもつことにした。
場所は渋谷の松濤。
松濤とはいっても名前だけで、渋谷の奥のほうにある古い雑居ビルの1室。
けれど、これで堂々と印刷屋さんに来てもらえる。
わたしは1周年のご褒美に、アニエスbのコートを買った。
仕事場に飾ってある友人が撮った写真。滋養に満ちた海の色が好き。
1件のコメント
「一刻も早く勇敢なオセロー将軍の姿を見つけ出さねばならぬ、それこそ、海の青、空の青がけじめを失って一色に見えるほど沖に瞳をこらして」(「オセロー」福田恒存訳)――さてさて、空に憧れた魚は、これからどう大海に漕ぎ出していったのか。楽しみです。早く続きを書いてください。
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