2012-02-5
「その国の宗教を知ること」
僕の生家は浄土真宗。つまり仏教徒。ただ熱心な信者ではなく、生家に戻った時に手を合わせ、経をあげるくらいで、旅中は特に何をしているわけでもない。ただ寺院に行くのは好きである。寺院だけではなく、教会やモスクなどに行くのも好きである。神聖な場所というものは居心地がいい。きっとそういったところに建てているからなんだろうけど。
罰あたりなのは承知で、そういった気持ちのいい場所で昼寝を貪ることもある。にわかイスラム教徒やにわかキリスト教徒になりながら、時々、自分が別の教徒だったらと考えることもある。イスラム教徒だったら、旅が多い僕の場合、街を移るごとにメッカの方向を確認しながら日に何度かお祈りを捧げることになるだろう。キリスト教徒であれば、日曜日に旅先の教会へお祈りに出掛けていく場所を選ぶ楽しさがあるかもしれない。
訪れる旅先の宗教とその特徴くらいは知っておいて損はない。と言ってもたいしたことはない。イスラム教色の強い街だったら女性の写真は撮らないようにすることや豚料理や酒が飲める場所が少ないことをあらかじめ覚悟しておく。仏教色の強い街の寺院に行く日は短パンやタンクトップなど肌の露出が多い服装は慎むなどといった程度のことである。
そういった宗教の観点から見るとイスラム教、キリスト教、仏教、ヒンズー教と四つの宗教が国教として認められているインドネシアは興味深い。一番、多いのがイスラム教徒で七十五パーセント近くを占める。しかし、バリ島だけは、ヒンズー教徒が九十パーセント以上を占める。元々ヒンズー王朝だったバリ島に、王宮文化が入り込んでバリヒンズーという独特の文化ができあがったという歴史があるからだ。
バリヒンズーの中に精霊と悪霊の話がよく登場する。島の人々はどちらも必要なのだと教えてくれる。大切なのは、そのバランスなのだと。精霊がいて、悪霊がいて、世の中が平和に保たれているのだと。そして悪霊が暴れないように朝と夕方には家の入口、水のある場所、火のある場所、道路や田んぼなどにまでチャナンと呼ばれるお供え物をする。川には悪霊がたくさんいるので川沿いに住まない方がいいと唱える人、悪いことが起きるとお供え物が足りなかったのではないかと考える人など日本で言えば、狂信的に思われがちなこともバリ島では日常会話の中に普通に出てくる。あらかじめそういった文化だと理解していれば何てことはない。
その延長で黒魔術なんてものもある。人とのトラブルの際、祈祷師の元に行き、あの人に黒魔術をかけてくれとお願いする方もいるらしい。よってバリの人達は決して、人に恨みをかうようなことだけはしたくないと言う。ここまで来ると少し怖くなってくるんだけどね。
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