2012-07-8
「世界的なチェーン店に入ることは是か非か?」
日々、増えたり減ったりし、株価のように数字は常に変動していて正確な数字はわからないが、現在、マクドナルドは世界に三万店舗以上あるそうだ。もちろん田舎街にはないところはあるし、東南アジアでもミャンマーのような軍事国家やアフリカ諸国などにはマクドナルドを真似たパロディのような店舗はあっても、マクドナルドのチェーン店は見当たらない。しかし、それ以外の国はたいていどこの街でも見かける。あまりにあるので辟易すると言う人も街並みが壊れていくと嫌う人もいる。
しかし、夜行列車や夜行バスで、まだ夜が明けきられない頃、全く知らない街に到着した時に営業しているマクドナルドの看板を見るとホッとすることがある。頼み方もわかり、味も想像できる店なのだ。よってタクシーに乗り込む前に一旦、店に入り、温かいコーヒーを飲みながら、心をリセットする。インドはデリーの街にあるマクドナルドで、新しいリュックを脇に置き、きれいなガイドブックをめくりながら嬉しそうに宿泊場所を相談しているバックパッカーの日本人の若者二人組を見かけたことがある。到着した直後であることは明らかだった。徐々にその街の文化に入っていくように見え、旅の高揚感をいろいろな意味で高めていく場所としてチェーン店を選ぶというのも悪くないなぁと彼らを見ながら思ったこともある。
僕の場合、初めて来た国のマクドナルドにはたいてい入ることにしている。ヒンズー教のインドでは牛を食べないので、ベジバーガーと呼ばれる野菜コロッケのハンバーガーとフィレオフィッシュがメインになっている場所もあれば、メキシコのようにハラペーニョのソースをつけてフライドポテトを食べる場所もあれば、マレーシアのようにお粥のメニューがあったり、スペインのように生ビールが飲めるマクドナルドだってあり、同じチェーン店だからこそ、他の国と比較ができ、食文化の違いに気付かされることもある。
決してチェーン店を推奨しているわけではない。これも一つの歴史の流れだと思っている。もちろん特色あった街並みがチェーン店ひとつの看板で壊れてしまったと思われる場所も多いことは否めないし、それは写真を撮るとわかりやすい。しかし、それはチェーン店だけでなく、TOYOTAやTOSHIBAなど日本の大企業の看板だって同じことだと思う。
少し大袈裟に感じるかもしれないが、僕らはこれらの文明の進化の恩恵にあずかって生きている。今後も、きっと街は変わり続けていくだろう。だからこそ変わり行く街の今しか見ることができない時間を大切にしたいと思う。そう思うと携帯電話の普及で、これまた世界中の街から減りつつある公衆電話ひとつとっても愛おしく見え、ついついカメラのシャッターを押してしまうのである。
「こいつ何、撮ってんだ?」
と通行人からは不思議がられるのだけれど。
コメントはまだありません
まだコメントはありません。よろしければひとことどうぞ!
コメントする ※すべて必須項目です。投稿されたコメントは運営者の承認後に公開されます。