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イシコの歩行旅行、歩考旅行、歩行旅考、歩考旅考

2012-03-25
「指定席なのに並ぶ訳」

航空会社の便によっては自由席のこともあるが、基本的に飛行機は指定席である。指定席ということは座れない心配はない。それでも搭乗予定時刻が近づくとゲートには必ず列ができる。20代後半、家族で初めて海外旅行に行ったとき、
「指定席やのに何でみんな並ぶんかね(並ぶのだろう)?」
母の葵ちゃんが岐阜弁でぼそっと言った。当時、僕もまだ二回目の海外旅行で緊張していることを隠しながら、
「列を見るとみんな並びたくなるんじゃないの?」
と答えていた。

ちょうどその直後から仕事も含めて僕は海外の旅に行くことが多くなった。今なら、あのときの母の質問にきちんと答えられる気がする。列を見てつられて並ぶ人もいることにはいる。早く席について眠るもしくは落ち着きたい人もいる。そして、一番、切実なのは、ある程度、大きな荷物を機内へ持ち込む人達である。上の棚のスペースを確保したいのである。機内持ち込みは基本的に小さいサイズの小型トランクまでとアタッシュケース程度ということになっている。しかし、その基準は曖昧なことも多く、小型トランクとかなり大きなリュックを機内持ち込みにする人もいる。すると彼らは棚のスペースが人よりも必要になる。

どうしてそこまで持ち込みたいのか。持ち込みにする理由は二つある。ひとつは到着してから預けた荷物をベルトコンベアの前で待つ時間を省きたい。乗り継ぎ便で違う航空会社に再度、チェックインしなくてはいけなく、しかもスケジュールがタイトな場合は特にである。もう一つの理由は荷物の積み忘れのトラブルを防ぎたいという人もいるだろう。日本に戻る旅なら届かないトラブルも笑って自宅で待っていられるが、いくつかの国を周る旅となると、このトラブルは避けたい。もちろん荷物がなくなるトラブルに遭遇する確立は少ないが、僕のパートナーは半年の間にドイツとアメリカで二度、積み忘れトラブルに遭っているし、ペルーで会った世界一周中の女性二人組は預けたトランクが行方不明になって途中で買いなおしながら旅を続けていると嘆いていた。よって預けるか預けないかギリギリのラインの荷物は機内持ち込みにする人がいても不思議ではない。僕もその一人である。そういう人達は早めに列に並ぶ。

そうは言いつつも何らかの事情でゲートに遅れてしまい、既に搭乗は開始され、自分の棚が開いているかどうか心配になることがある。 その場合、まず自分の座席番号を再度、確認する。機内に入ったら自分の座席番号の十席ほど前あたりから座席の状況を何となくつかむ。もし、空いてそうであれば、そのまま進めばいいし、もし、混んでいる雰囲気を感じたら、その時点から棚が開いている場所をチェックしながら進んでいく。そして途中で小型のトランクが入りそうな場所があれば、迷わず突っ込んでしまう。降りるときに歩きながら、その場所から出すだけなので別に問題はない。機内で使いそうな物が入っているリュックだけは自分の近くの席の棚で空いている場所を探せばいい。

これはあくまで持ち込みができた場合である。搭乗口で係員から荷物の量が多過ぎるので持ち込みできませんと指摘され預けることになる場合もある。今回のプノンペン行きの飛行機のように。

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ishiko
ishiko

イシコ。1968年岐阜県生まれ。女性ファッション誌、WEBマガジン編集長を経て、2002年(有)ホワイトマンプロジェクト設立。50名近いメンバーが顔を白塗りにすることでさまざまなボーダーを取り払い、ショーや写真を使った表現活動、環境教育などを行って話題になる。また、一ヵ月90食寿司を食べ続けるブログや世界の美容室で髪の毛を切るエッセイなど独特な体験を元にした執筆活動多数。岐阜の生家の除草用にヤギを飼い始めたことから、ヤギプロジェクト発足。ヤギマニアになりつつある。

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