salitoté(さりとて) 歩きながら考える、大人の道草ウェブマガジン

イシコの歩行旅行、歩考旅行、歩行旅考、歩考旅考

2012-03-11
「旅先で荷物が増えたら?」

日本にいるときも物を増やさないで生活したいと思っている。しかし、気がつくとすぐに物で溢れてしまう。それは旅の間も同じ。旅を続けている間に、ふと気がつくとトランクが閉まらない事態に陥ることがある。

インフォーメーションでもらった街の地図、自分が観た芝居や映画のチケットやパンフレット、その時にその街で発売されていた現地の新聞などを貼りつけたメモ帳はどんどん膨れ上がっていく。これだけでも長期間、旅をしているとかなりかさばる。それに加え、現地で創られている雑誌やCDもついつい購入してしまう。荷物を増やしたくないときに一番買ってはいけない大判の写真集でさえ買ってしまったこともある。時折、合流するパートナーが持ち帰ってくれることもあるが、彼女だって、そんなにトランクのスペースに余裕があるわけではない。彼女自身の土産だって入れて帰るのだから。よって荷物が増えたら基本的に郵便局で小包を送ることにしている。

ただ、いざ小包を送ると言っても、これが意外に大変である。まず手頃な箱を見つけるところから始まる。個人経営のホテルのような場所だと譲ってくれることもあるが、たいていは自分で探さなくてはいけない。国によっては郵便局で小包用の箱を売っている場合があるので、それを買うこともあれば、文房具店やスーパーで買うこともある。箱を買いに行ったにも関わらず、変わった紙質のノートや珍しい歯ブラシなど訳のわからないものを買って、更に物を増やしてしまうことも多々ある。

ホテルに戻り、小包に詰め込むと後は郵便局へ持って送るだけ…のはずだが、日本のように単純な訳にはいかないこともある。番号札をとり、さんざん待たされた挙句、窓口が違って、最初から並び直すこともあれば、送るものの検閲をしてからでないと蓋をしてはいけないこともあり、これもまた国によって違う。それも国の生活文化を知ると思って、ひとつずつゲームをクリアしていくように地道に進んでいく。全く言葉がわからない場所で小包を出すだけで一仕事だったりする。

当たり前だが郵送料は国によって違う。物価の安い国に滞在していて郵送料が高く感じることもある。写真データを入れたメモリースティックを連載している雑誌編集部にインドからEMSで送ったが小さな封筒一つの郵送料が1500円程度もして驚いた。チャイ一杯30円程度で飲むことができる国なのだ。封筒一つの郵送でチャイ50杯飲めると考えるとこれは大変な金額である。

自分の小包は、そんなに急がないので一ヶ月以上かかる船便で充分である。重さや国にもよるが、みかん箱一つで数千円程度。安いからと買ったものが郵送代で結局、高くついてしまうということは普通にある話なのだ。結論としては何も買わないことなのだと先程も郵便局で決意したところ。しかし、その帰りに楽器を買ってしまい、途方に暮れているところである。

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ishiko
ishiko

イシコ。1968年岐阜県生まれ。女性ファッション誌、WEBマガジン編集長を経て、2002年(有)ホワイトマンプロジェクト設立。50名近いメンバーが顔を白塗りにすることでさまざまなボーダーを取り払い、ショーや写真を使った表現活動、環境教育などを行って話題になる。また、一ヵ月90食寿司を食べ続けるブログや世界の美容室で髪の毛を切るエッセイなど独特な体験を元にした執筆活動多数。岐阜の生家の除草用にヤギを飼い始めたことから、ヤギプロジェクト発足。ヤギマニアになりつつある。

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