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イシコの歩行旅行、歩考旅行、歩行旅考、歩考旅考

2011-09-25
「インフォメーションセンターに行く訳(ナコーンパノム/タイ)」

バスがナコーンパノムに到着したのはお昼過ぎだった。なかなかそううまくはいかないが、可能な限り、新しい土地には昼間到着した方が気分的には楽である。ホテルが決まっていない場合は特に。余程のことがなければホテルはたいてい見つかるが、その余程のことに僕はブリュッセルで遭遇したことがある。世界的な会議とイベントの時期が重なり、ブリュッセル市内のホテルはどこも満室だった。しかし、不思議なことに昼間到着していたからか、あまり焦ることはなかった。ブリュッセル市内で見つからなければ、別の街まで移動すればいいとさえ思っていた。昼に到着するとこれくらいの余裕は生まれる。結局、この時は通常の三倍近い値段ではあるがブリュッセルのビジネスホテルに宿泊することができた。

これが夜に到着すると心持ちは全く違う。一つのホテルを断られただけで、ひょっとして僕は今日泊まる場所がないのではないだろうかという不安が押し寄せる。ただでさえ新しい場所では土地勘がないので、不安度は何倍にも増す。

ナコーンパノムでは予定していた川沿いのホテルがあっさり決まった。しかし、ガイドブックに掲載されていた写真よりもかなり古い建物で日当たりもよくない。もし、何日か滞在して、居心地が悪ければ、他のホテルへ後日、移ろうと思う。

トランクを広げ、タンスにジャケットなどの洋服をかけ、バスルームに洗面用具を置いて顔だけ洗うとすぐにホテルを出てインフォメーションセンターに向かった。インフォメーションセンターがある街は、たいていその街の地図が置いてある。それをまず手に入れる。そして、次の目的地が決まって入れば、そこに向かうまでの交通機関を確認する。特にバス移動の場合、行き先によって乗り場が違うこともある。そして、今回のようにチェックインしたホテルが気に入らなければ、ホテル情報を聞くこともある。考えてみれば地元なので当たり前だが、ガイドブックには掲載されていないような新しいホテルの情報を持っていることも多い。

ガイドブックに掲載されているホテルは高級ホテルやバックパッカー向け安宿は充実しているが、僕のような中年男や女性の一人旅で泊まるのに適したこぎれいなビジネスホテルの情報が意外に掲載されていない。掲載されていないというのは少し語弊があり、ここ一年以内にできたような新しい中級ホテルの情報までは、いくらリニューアルするガイドブックとはいえ、とても対応できないのである。地方都市では特に。以前は、海外って中級ホテルがないよねと偉そうに言っていたが、これは間違いで、ビジネスマンがやってきて泊まる新しい中級ホテルというのは東南アジアの中には続々と増えているというのが、ここ数年の僕の感想である。しかも値段が手頃。新しいので部屋も清潔だし、最近ではワイヤレスが繋がる設備を備えているホテルも多い。こうして地図と様々な情報をもらい、インフォメーションセンターを出た後にふらりと入った店でビールを飲みながら、今後の予定を立てる時間が大好きである。

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ishiko
ishiko

イシコ。1968年岐阜県生まれ。女性ファッション誌、WEBマガジン編集長を経て、2002年(有)ホワイトマンプロジェクト設立。50名近いメンバーが顔を白塗りにすることでさまざまなボーダーを取り払い、ショーや写真を使った表現活動、環境教育などを行って話題になる。また、一ヵ月90食寿司を食べ続けるブログや世界の美容室で髪の毛を切るエッセイなど独特な体験を元にした執筆活動多数。岐阜の生家の除草用にヤギを飼い始めたことから、ヤギプロジェクト発足。ヤギマニアになりつつある。

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