salitoté(さりとて) 歩きながら考える、大人の道草ウェブマガジン

〜日常は、劇場だ!〜「勝手に★ぱちぱちパンチ」

2010-09-29
思い込み人間は脳内快感の夢を見るか?

勘違いがはなはだしい。

小さな頃から、勘違いの多い子供だったみたいなのだが、勘違いというのは間違っていたことが分かった時点で、初めてそれが勘違いであったことが判明するのであり、それまでは自分の中では正しいと思っているのである。そこがややこしいところである。

大人になってから、いや正直に言うとつい最近でも、「えぇぇぇえええ~~っ?!」というような事が連日判明する。
語句や漢字は言うに及ばず、人の名前、土地の名前、歴史的出来事、世の中の作法、等々。

最近の例では、上司の出張準備で交通費を調べているとき、どうしてもネットの乗り換え検索で「弘前市」が出てこない。一体どこにあるのか分からず、何度も何度も確認するが、出てこない。同僚に「ヒロマエ市って何県ですか?」と聞くも、「ん~聞いたことないなぁ。どこかの小さい市?」と言われ(ここで分からない同僚も同僚)、必死で探すこと数十分。結局、上司に聞きに行くと、「出張はヒロサキ市だよ」と言われ、「じゃ、ヒロマエ市って何県だったんですかね?」というと、「・・・多分、そんな市は無いと思うよ(汗)」と顔に青筋が入っていたのだった。
つまり、ヒロサキ市をヒロマエ市と思っていた訳ですな、簡単に言うと。

とにかく、こんなことは日常茶飯事(→これも、大学時代に旅行に行った車の中で友人に注意されるまで、ずっと“チャハンジ”として認識…)で、ありとあらゆることを勘違いしている自分に気づくとき、なんでまた今まで気づかなかっただろうと不思議で仕方がない。
でもよく考えると、そこには妄想というか、自分勝手な解釈が存在していて、独自のストーリーで非常に激しく思い込んでいるのが特徴なのであります。

いくつかは、皆さんの中にも覚えがある方もおられると思うが、以下はその例。

テレビのニュースより~ “お食事券”
「政治家の人たちは、みんなパーティーで何百万円ものチケットを売って、悪いことをしてるんだ。でも一体みんなどんな料理を食べているんだろう?そんな凄い金額を渡す“お食事券”なんて!ちょっと食べて見たい気もする…」
(そうですね。『汚職事件』です)

有名な童謡より~ “ひいじいちゃん”
「赤い靴履いてた女の子は、“ひいじいちゃん”に連れられて行ったんだ。でも、このなんとなく哀しいメロディ…。もしかすると、そのひいじいちゃんはとっても意地悪で怖い人で、その女の子を折檻するためにつれて行ったのかも。こんな哀しいメロディは、それを暗に言いたいのかもしれない。いやきっとそうに違いない!かわいそう過ぎる。ひいじいちゃんのバカヤロー。誰か助けてあげて~!」
(ご存知、勘違い王道『異人さん』です。しかしこの歌自体は事実を元につくられたとされているが、違うという根強い説もあるそうな。意外とホントにひいじいちゃんだったりしてね)

免許の更新にて~“国籍”
「あれ?この『本籍』の欄のところに、『(国籍)』って書いてある!(ex.→『本籍(国籍)』)つまり、これは、自分の“国籍”を書くということだよね?でもこんな正式な書類に書くとなると、きっと日本の正式な国名を書かないといけない筈。韓国なら大韓民国、中国なら中華人民共和国、そうか!じゃあ・・・」
(私がその枠いっぱいに堂々と書いたのは、『日本国!』 受付の警察のおっちゃん、爆笑してました(汗)。ただ本籍の住所を書きゃいいだけなのに・・・)

まだまだ、まだまだ、まだまだ・・・
勘違い諸々は数え切れないのですが、以下、皆さんもお心当たり、ありませんか?

○   漢字編 → ウイロウの紳士(初老の紳士)、カイドク剤(解毒剤)、キウス(希薄)、アシアトを残す(足跡を残す)、etc.
○ 実在の人物と思っていた人 → 眠狂四郎、オスカル、猿飛佐助、赤影、はだしのゲン、etc.
○ 逆に、架空の人物と思っていた人 → 柳生十兵衞、弁慶&牛若丸、三蔵法師、etc.
○   区別がつかず、同一としてみなしていた人・物 → 
   映画監督:マイケル・ムーア×ピーター・ジャクソン
   俳優:ダニー・デヴィート×ボブ・ホスキンス×ジョー・ペシ
   魔法使い:ダンブルドア×ガンダルフ
   お笑い:アメリカザリガニ×ハリガネロック、二丁拳銃×ルート33
   音楽家:ハイドン×ヘンデル
   歴史上の団体:新撰組×赤穂浪士
   地名:立川市×市川市、亀有×亀戸、越谷市×川越市、etc.

他にも、エマニュエル坊やはマイケルの叔父さんだとか、平田オリザさんをずっと女性、逆にアンパンマンのバタコさんを男性だと思っていたりと、勘違いの泉は尽きることがない。(なぜなら、いくら真実を知ってアウトプットされても、また新たにインプットされる勘違いが尽きないため・・・)

しかしながら、勘違いと分かった、或いは教えられた瞬間って、何ともいえない恥ずかしさと共に、ちょっと脳内アハ体験にも似た気持ちよさがあるのはなぜなんですかね。正直、ある種の快感が、脳内をビビーンと張り巡る感じです。
これって、もしかして脳がその快感を求めて、無意識に私が勘違いするように仕向けてるってことも?まさかね?!
でも、脳のやることだから有り得るかも。人間の脳にはまだ知られていない凄い機能が備わっていると聞くし。(あのHAL9000型コンピューターだって独自で自身のために行動したんだし!)もしかするとそうかもしれない、いやきっとそうに違いない。無意識に私は勘違いさせられている、間違いない!!恐るべしっ、脳!!

と、まあこのように勝手に思い込んでストーリーになり、勘違いに発展していくわけです・・・(爆)
では最後に、つい最近のぱちぱちとパンチな体験を。

仕事の電話にて、地方のお客様に待ち合わせ場所を説明~“アヤ”
「そうです。朝9時に埼玉某駅の“アヤの国”駐車場集合です。ええ、そうです、“アヤ”です!漢字は、杉本彩さんのアヤです。私もよく分からないのですが、多分ビルの名前かと思います。ええ、行ってみたら多分わかると思います。私も初めて行くので良く知らないんです。はい、“ア、ヤ、ノ、ク、ニ”です!」
電話を切った後、同僚が言った。

「それって、“サイ”じゃない・・・」
「えぇ?なんで?普通“アヤ”って読まない?」
「でも、埼玉でしょ?“サイの国”じゃ・・・」
「まさか!埼玉の埼と漢字が違うし、まさかそんな音だけで彩なんて当て字、いくらダサいたまと言われる埼玉だって、そこまでしないでしょう?“彩(アヤ)”だよ~。きっとビルの名前だよ~」
念のために上司(埼玉在住、熱烈なレッズサポーター)にそれとなく聞きに行った。

「課長。“サイ(彩)の国”って聞いたことあります?ないですよね?音だけで埼玉の当て字になってるっていう人がいるんですけど、まさかそんな訳ないですよね~単純すぎますよね~あはは」

パソコン画面を見つめたまま、先ほどから私たちの会話を聞いていたらしいその課長は、一点だけを見つめて言った。

「“サイ(彩)の国”・・・、それは埼玉だっ!」
小さなツバが飛んだ。
「ヒッ・・・(汗)」

このときばかりは脳内快感は走らず、全身に冷や汗が流れたのみであった。
皆さんも、勘違いの快感、求めすぎないようにご注意ください。

勘違いさせようとする脳の中の賢いひと(イメージ図)

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1件のコメント

ほんと、ありますよねぇ。勘違いって言うか、言い切ってしまうことって。
「アハ体験」かぁ・・・。恥をかいて、一歩上がるって感覚は確かにある!
これが、脳の「修行」やとしたら・・・。すごいよねぇ・・・。でも私の場合、
大恥をかいたあとの、軌道修正が結構大変かも。
それにしても、お食事券」はあるあるですよねぇ。笑ろた!

by umesan - 2010/12/10 10:53 PM

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アラキ ランプ
アラキ ランプ

東京在住。映画と文学と旅行が好きな典型的文化系社会人。不思議なものと面白いものに目がなく、暇があってもなくてもゆるゆると街を歩いている。そのせいか3日に1度は他人に道を聞かれる。夢は、地球縦一周と横一周。苦手なものは生モノと蚊。スナフキンとプラトンを深く尊敬している。

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