salitoté(さりとて) 歩きながら考える、大人の道草ウェブマガジン

そらのうみをみていたら。

2011-12-29
写真家・むらいさちさん
『AloHeart☆』

2011年3月以降、糸井重里さんがご自身の運営されている『ほぼ日』で、たびたび「光のほうを向いていきたい」と言っていた。

その言葉を見るたびに、私はいつも、むらいさちさんの作品を思い出していた。

沖縄でダイビングインストラクターの仕事をしたのち、写真の世界に入ったむらいさん。現在は水中や自然、海辺の写真を中心に活躍しているが、一番最初に影響は受けたのは、ロバート・キャパ氏の写真だったという。

「勤めていたフォトスタジオに、キャパの写真が飾ってあったんだよね。彼は戦場カメラマンとして有名だけど、僕が惹かれたのは子どもたちの写真。うまく言えないけど、その笑顔になにか希望のようなものを感じたのかな。僕がキャパの写真を見て感じたように、僕の写真を見た人に、そんな気持ちになってもらいたい。そこが僕の原点かもしれない」

3.11の東日本大震災の後、むらいさんは頻繁にツイッターなどで花の写真を公開していた(「いつでも心に花を☆ココハナ作戦」プロジェクトにも参加)。

「写真で元気になってくれる人がいる。喜んでくれる人がいる。写真の可能性をすごく感じるんだ。」

それはむらいさんが、写真から学んだこと。そして、写真家として、これから進んで行きたい道でもある。

「ただ素直に、写真で笑顔になってもらいたい」

そのむらいさんが年明け早々にキャノンギャラリー銀座で、ハワイをテーマにした写真展『AloHeart☆』を開催する。

「ハワイに10年くらい通って、象徴的な風景や大自然などいろいろと撮った。そんな中で、ハワイっていう場所のワクワクする気持ちや心地いい空気感を感じて撮ったものを今回はセレクトしてあるんだ。」

なにか、これと決めた目的に向かって撮影にいくのではなく、例えば、街を歩いていたり、車を走らせているとき、心ひかれたものに出会ったときにシャッターを押す、というのがむらいさんの撮影スタイル。

「さりげない風景が多いけど、どの作品も僕の心の中では『わー!』って声を上げて感動しているんだよね。僕のツボにハマっているっていうか。」

ときに格別の出会いもある。

「ワイキキビーチで絶滅危惧種のハワイアンモンクシールに出会ったときは、すごくびっくりしたよ。カウアイ島やハワイ島では見かけることもあるけど、まさかあのワイキキビーチで! たぶん彼らの生活環境がよくなってきてるんだと思って、すごくうれしかったね」

ハワイを含め、自然と直面する機会が多いむらいさんだが、自然の変化に対してはどのように感じているのだろうか。

「そのワイキキビーチでも年々、砂浜が狭くなっていたり、世界一美しいといわれるラニカイビーチが浸食されて木が倒れていたりもする。心を痛めることはたくさんあるけど、ハワイに行って心が安らいで、精神的な余裕が出て来てやさしい気持ちになったら、そういうことにも気づいたりすることがあると思う。
だから、僕はプラスの力を信じて、夢のある写真を見せていきたいと思ってるよ。」

「心底、自分は幸せな仕事ができていると思う。だからその気持ちを分けていきたい」という、むらいさん。
迷ったり悩んだりするときはもちろん、ある。それでも、まず行動を起こしてみる。すると必要な情報が集まり、自然と周りの協力が得られるという。

「ただ素直に」
2012年のはじまりに、あたたかな光を感じに行ってみよう。

<Information>
むらい さち 写真展:AloHeart ☆ 〜こころで感じるハワイ〜

開催日程
☆2012年1月5日(木)~1月11日(水)キヤノンギャラリー銀座
※1月7日(土)11時、17時の2回、むらいさちによるギャラリートークを開催します。

☆2012年1月26日(木)~2月7日(火) キヤノンギャラリー仙台
☆2012年2月16日(木)~2月22日(水) キヤノンギャラリー梅田
☆2012年3月 1日(木)~3月13日(火)キヤノンギャラリー福岡

ハワイアンモンクシールの写真も展示されているそうです!
詳しくはこちら。
キャノンギャラリーサイト

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魚見幸代
魚見幸代

うおみ・ゆきよ/編集者。愛媛県出身。神奈川県在住。大阪府立大学卒業後、実家の料理屋『季節料理 魚吉』を手伝い、その後渡豪し、ダイビングインストラクターに。帰国後、バイトを経て編集プロダクションへ。1999年独立し有限会社スカイブルー設立。数年前よりハワイ文化に興味をもち、ロミロミやフラを学ぶ。『漁師の食卓』(ポプラ社)

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