salitoté(さりとて) 歩きながら考える、大人の道草ウェブマガジン

そらのうみをみていたら。

2011-02-18
断捨離なとき

来月、引っ越すことにした。

自他ともに認める引っ越し魔で、東京に来てから今度で10回目。

引っ越しが好きな訳ではない。
ただ、通勤が苦手だったり、犬と住むことにしたり、海の近くに住みたくなったり、大事な友との時間を大切にしたかったり、そんなこんなで、そのときに一番いい選択!と思うと、どうしても引っ越しせざるを得なかったのだ。

引っ越しのいいところは、ライフスタイルの見直しができること。
今回、知ったお得情報はひかり電話にすると、基本料金がかなり安くなること(今更なことなんだろうな。きっと…)。もともとかなりのなまけものなので、必要がなければ自分のことで調べたり動いたりするのは苦手。(仕事がなければ、どうしようもないぐうたらな生活をしてしまう…。そんな自分もイヤだったりするから、仕事はほんとに有り難いわけです)。各方面に引っ越しの連絡をするたびに、料金の見直しを尋ねると、みんな親切に教えてくれて、ずいぶんいろんなものが安くなったなあと感心する。

そして、もうひとつの大きなメリットが荷物の整理。
昨年流行った、まさに「断捨離」である。
断捨離とは、ヨガの「断業」「捨行」「離行」という考え方を応用して、人生や日常生活に不要なものを断つ、また捨てることで、ものへの執着から解放され、身軽で快適な人生を手に入れることをいう、らしい。(Wikipediaより)

メディアにこの言葉が踊っているときは、「片付け」するだけのことなのに、そんなに大袈裟なことを言わなくてもいいんやないの〜、と斜に構えていた。けれど、実際に「モノ」を捨てはじめると、自分でも驚くほど、気持ちが落ち着いてきた。

「モノ」というものは、買うときには「ただのモノ」であるけれど、所有したとたんに「モノ」を選んだことや関わった時間、出来事、人が私の心に宿る。「モノ」を捨てることは、ただの物がなくなるのではなくて、そのとき私の心に宿った思いを捨てることになる。もちろん、多少は記憶の中に残っているだろうけれど、「モノ」の存在感をあなどってはいけないと思う。目の前からなくなってしまえば、やはり記憶の彼方に追いやられてしまう。

わたしの生活はこの1年で大きく変化した。
だから、今回の引っ越しはその変化に合わせることになる。持っていくものも、変化に応じてかなりシンプルにする。

とはいえ、「断捨離」をしてシンプルになることがいいことだとはあまり思っていない。気持ちが落ち着いたのは、たまたま今の変化に「断捨離」が合っていただけだろう。
大事に思えるモノに囲まれている生活に、実は憧れてもいる。

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魚見幸代
魚見幸代

うおみ・ゆきよ/編集者。愛媛県出身。神奈川県在住。大阪府立大学卒業後、実家の料理屋『季節料理 魚吉』を手伝い、その後渡豪し、ダイビングインストラクターに。帰国後、バイトを経て編集プロダクションへ。1999年独立し有限会社スカイブルー設立。数年前よりハワイ文化に興味をもち、ロミロミやフラを学ぶ。『漁師の食卓』(ポプラ社)

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