2011-02-5
うなぎの卵
2011年2月1日、日本列島から南に約2000キロのマリアナ諸島沖で、ニホンウナギの卵を採取したと、東京大と水産総合研究センターの研究チームが、英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表した。
史上初 ウナギの卵を採取 資源保全や養殖技術向上へ マリアナ諸島沖
私は科学に興味があるわけではないけれど、このウナギの生態の話は以前、父から聞いたことがあり、その謎にはちょっと興味を覚えた。
「冬の頭に、海でうなぎがとれるんやけど、どうも産卵しに海におりてくるみたいよ。そやけど、この辺の海で産卵するわけじゃないんよ。そうとう遠くの深い海まで出かけていくみたいで、その途中にたまたま網にかかってしまうんやろな。なんでわざわざ海におりてくるのか、どのくらい深いところで産卵をするんか、どういう条件が必要なんかはまだわかっとらんみたい。愛媛の川のうなぎに限らん。日本中のうなぎが東シナ海までいくみたいよ。その海で生まれたシラスがまたそれぞれの川に戻っていくんやけん、そりゃ不思議な話ではあらいな。わしは学者やないけん、そのへんはようわからんけど、とにかくこの時期のやつはうなぎとは思えん味よ」
そう、冬のはじまりの時期に、海で採れる天然うなぎは格別においしいのだ。高級な霜降り牛のようなもので、口にいれたらふわっと溶けるぐらいに甘く、深く、そして豪快。
「そりゃ、ものすごい遠いところまで産卵に出かけていかんのいけんのやけん、相当な栄養をためとるわけよ」
そんな神秘の命を食べて、私たちは生きているわけだ。
生態の謎って、私は妙に安心する。まったく言葉足らずだけれども、謎をなぞのままにしているのではなくて、人は長い歴史のなかで、謎に対する感性を会得したり、こうして解明に挑んだりする。人間のことだって、脳のことはもちろん、ぜんぜんわかっていないことだらけで、わからないなりに、よりよい生き方を模索して、腑に落ちるなにかを見つけてきた。それだけ「謎の生」って希望があるってことなんやないかな。
2件のコメント
うふふ、以前その水産総合研究でうなぎの研究をしている 学者先生に仕事であったの。うなぎの産卵場所を探して世界を船でまわっている人で うなぎの世界権威のおじさまでした。
うなぎ探索用の船にも載せてもらったのだ☆
ダンディーでハンサムで、紳士でした。
そのときうなぎの神秘にもう、想像力爆発してしまって
うなぎ好きになったのでした。
newsで取材を受けているのを拝見しましたが、たしかに紳士でしたね〜。
ほんと、よくもまあ、そんな遠いところまで行って帰ってきますよね。
うなぎ自体は、それがどんなにすごいことかなんて、自覚のないまま、
ただただ、それをやっているってことですものね〜。
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