salitoté(さりとて) 歩きながら考える、大人の道草ウェブマガジン

我が書斎、横須賀線車中より

2018-12-5
自分を整える時間

11月は、公私共にこの数年無かった程の忙しさだった。

「忙しい」とは「心を亡くす」と書くけれど、実際にそういう状態になる嫌な忙しさと、そうではなくて、逆に心に身がギッシリ詰まっていく良い忙しさの2種類がある様な気がする。

その差は、以前書いた3つの輪っかの通り、やるべきこととして、やらされていることと、やりたいと思ってやっていることの差なんだろう。

自分が内発的にやりたいと思っている訳ではなくて、義務感がある忙しさは、やった分だけ疲れが溜まって、気持ちがパサパサと乾いていく。

自分が内発的にやりたいと思っていることは、ワクワクして、取り組んでいる間に時間があっという間に過ぎて、終わってからも脳みその興奮状態が続いて、なかなかスイッチがオフにならない。
現に、この1か月は低血圧の私にしては珍しく、睡眠時間は短めで、時々浅くて覚醒したりもして。
ずっと頭の中がブンブンしている様な感じだった。

どれくらい低血圧かというと・・・上が90に届かない位で、下は50位。
よって、基本的には朝は弱い。
でも、頭の中がブンブンしていると目覚ましが鳴る前に目覚めてしまう。

勿論、体は時々疲れるので、1か月を走り切るために、たまに時間が確保できると12時間位寝て、チャージしていた。
こういう物理的なチャージは、私の心身を整えるのにとても大事。

お風呂だってユックリ入ればいいのに、せっかちで、湯舟に浸かっていても無意識にササッと出ようとしてしまうので、あえて本を持ち込んだり、歯磨きをしたり、歌を歌ったりしてジックリ入る様に気を付けている。

食事も、忙しいとついつい手抜きになってしまうけれど・・・

去年から一人息子が仙台で独り暮らしをする様になって、今は私も生まれて初めての独り暮らし中。
母として食事を作っていた時は彼の成長を考えて、栄養バランス、品数、バリエーションも自分なりにあれやこれやと気を配っていた。
いつでも何とかなる様に、毎週末買い出しに繰り出して、冷蔵庫の中にはいつもたくさんの食べ物をギッシリ詰め込んでいた。

もはや、自分のためだけにそれをするのは面倒くさい。
量もそんなに要らないので、買い出し頻度は落ちた。

そもそも、ちょっと前まで6年間、毎日お弁当を作っていたんだけどなぁ。
今となっては自分がそんなことをやっていたなんて信じられない。
もう二度と出来ないわー。

でも、スーパーやコンビニのお惣菜には手を出さない、というのが自分自身のささやかな矜持。
一人で外食をするのも好きではないので、基本的には家で作って食べる。

そんな私が家の冷蔵庫に絶対に欠かさないのが、野菜。
前世は草食動物だったのでは、と思うくらい、野菜を食べずにはいられない。

近くに、三浦、鎌倉、葉山など地元で採れた季節の新鮮な野菜を売ってくれる八百屋さんがあって。
買いに行って、並んでいる野菜達を見ているだけですぐ幸せになる。
ついつい沢山買ってしまい、沢山買うとさらにオマケまでもらったりして・・・
傷めては勿体ないから、その後ひたすらムシャムシャ食べる。

ほうれん草や小松菜などは常にあって、一食に大体半束を食べる。

先日友達から訊いて驚いたのだけど、あの、一世を風靡したシリコンスチーマー、もう今は皆余り使ってないんだってね?
私の中では超のつく大ヒットアイテムで、未だに一番使っている調理器具である。
お野菜をお浸しにするのは大抵このシリコンスチーマーで。
簡単で、栄養が逃げず、本当におススメ。

勿論、生で食べるのも大好き。
蕪やラディッシュなどは瑞々しさを味わいたいので、皮も剥かないでザクザク切って、味噌、塩、マヨネーズ、ゴマドレッシングなどをつけて頂く。
果物の様に甘くて、いつも中皿一杯位食べてしまう。

最近特に気に入っているのは、春菊とパクチー。
それぞれ、一品だけで茎まで使って、生のままのシンプルなサラダにする。
春菊はオリーブオイル、塩、レモン汁であえるだけ。
パクチーはゴマ油と「アジシオ」であえるだけ。
これがもう美味しくて、止まらなくて・・・気が付くと丼ぶり一杯食べている。

わしわし、もしゃもしゃ食べていると、問答無用で動物的本能が満たされて・・・
細胞のひとつひとつがピチピチと喜んでいるのを感じる。

逆に、暫く外食が続いて、新鮮な野菜を食べられない時期が続くと、渇望感を感じてしまう。
ああー、早くあの八百屋さんに行きたい!

大体、息子が居た時は、いつも時間に追われていて。
八百屋さん、お魚屋さん、お肉屋さん・・・と買いまわるのが面倒くさくて、一度に済んでしまうスーパーで済ましてしまうことが多かったけれど、今は違う。
時間が出来るとユックリ買いまわって、それだけで気持ちが満たされていく。

でもこっちの方は、動物的本能じゃなくて、「こういう体に良い、ナチュラルなことをしている自分が好き」、と自分に酔っているところもあるんだろうなぁ・・・。

でも、八百屋さんに行って、新鮮な野菜を買って、その野菜を食べることが一種の儀式の様になって、自分の心身を整えてくれることがよく解る。

こんな風に、ほっておいても野菜は沢山食べる私。
栄養的な課題は、タンパク質をもっと食べなきゃいけないということ。
この間、健康診断の結果が出て、見事に「タンパク質が少ない」という結果が出ちゃったんだよなぁ。

意外に思われるが、お肉には余り興味が無くて・・・
一番好きなお肉は鶏のささ身。
焼き肉は年に1回食べれば十分だし、食べてもユッケ、タン塩位。

断然魚党で、生のお刺身はいくらでも。
もっと好きなのは植物性タンパク質。
納豆やお豆腐なら幾らでも食べられる。

でも、野菜に向ける程の情熱を持っていないので、ほっておくと家では食べないで終わってしまうことも。
将来、いつまでも元気に動ける体を作るためには、もっと意識して食べないとなぁ。

家でもっと食べないで済ましてしまうのは、炭水化物。
独り暮らしを始めて友人、知人との会食が増えて、あっという間に3kg太ってしまったので、あえて控えているというのもあるけれど。

でも最近、たまにご飯を炊く時には、土鍋を使っている。
知人の結婚式の引き出物がカタログで、そこから選んだ万古焼の土鍋をとても気に入っていて。
強火で10分、弱火で10分、後は10蒸らせばよいだけなので、結構簡単に炊ける。
電気炊飯器より明らかに美味しいし、自分の好きな様にお焦げも作れる。

土鍋で炊いたご飯は冷めても美味しくて。
そのままチンをして温めなおしてもいいし、ネギや卵を入れて雑炊にしても良い。
この間はチーズと黒コショウでリゾット風にしてみたが、それも美味しかったなぁ。

ここでハタと気が付く。

息子が居て、3食を用意「しなければいけなかった」時代と違って、今はたまに、気が向いた時だけ、「やりたい」時に作る。
よって、料理が愉しくなっている・・・。
わざわざひと手間をかける、そのプロセスも嬉しい。

まさに、これも3つの輪っか。
断然、今の方が美味しく作れていることだろう。
息子よ、すまん・・・・・。今度帰ってきた時には、やってあげるからさ。多分ね。

家の中を綺麗にするのも、私にとっては心身を整えるのに大事なこと。

独り暮らしだと、そんなに家が汚れない様に思われるが、洗面所、お手洗い、お風呂、キッチンなど・・・
毎日使う水回りはやはり汚れる。

毎日使っているシーンで、その汚れが溜まっていくのを目にすると、気持ちの中に滓の様なものが一緒に溜まっていく。
そして切実に思う、ああー、磨きたい!!

隙間時間を見つけて、スポンジに中性洗剤をつけて、洗面ボウルをキュッキュッと磨き、泡を全部流すと、気持ちの中に溜まった滓も一緒に流れていく。
その後水が乾いて、洗面ボウルがツルンツルンになっているのを見た時は、恍惚。

キッチンも、毎日という訳にはいかないけれど、夜、全ての食器を洗い上げた後に生ゴミを片づけて、シンク、ゴミ入れ、そして排水溝の蓋も外して全て磨きあげる。
「今日も1日終わった」と達成感に浸る。

お風呂も、入っている間にアチコチが気になって、つい自分を洗うのをそっちのけでお風呂掃除をしちゃうって人、結構居るんじゃないかな?
お風呂掃除は、全部終わった後に水で全部流せるのが、より気持ちいいポイントだと思う。

今住んでいるマンションは立地も中の作りもとても便利で気に入っているが、唯一残念なのはお風呂に窓が無いところ。
よってカビの棲み処になってしまうのが恐ろしく、いつも換気扇は回しっぱなし。

それでも湯舟のエプロンの裏側とか、排水溝の奥とか、素人では手が届かないところが沢山あって気になるので、随分前から、年末にはプロのお掃除屋さんにお願いして、徹底的に掃除してもらっている。

そのお掃除屋さんに教わったのが、お風呂からあがる時に、鏡や黒い大理石調の台など、水垢がついてほしくないところを毎日ワイパーでぬぐうこと。
簡単なひと手間をかけるだけで、あのうろこ状の嫌な水垢がつかないで、1年間気持ちよく過ごせる。

最初は面倒くさいかと思ったが、慣れるとそうでもない。
むしろ、いつも綺麗な状態のお風呂に入れることが心を整えてくれる。
だから毎晩、次に入る自分自身のために、キュッキュッとぬぐうことにしている。

お風呂に入っている間に、自分のためにお香を炊くのも、大事な儀式。
あえてオンの状態を続けたい、木曜の夜までは、やらない。
日曜の夜も、明日の月曜に向けてオンにするので、やらない。
金曜の夜と土曜の夜だけ、炊く。
好きな香りはアジアンなチャンダン。
この香りが家中に満ちると、ああ、今週も終わった、よく働いたな・・・と自分をねぎらえる。

洗濯も、大好き。
家中から洗えるものをかき集めて洗濯機に頑張って洗ってもらって、盛大にベランダに干して、お日様の下で洗濯物がヒラヒラしているのを見るのは至福。
柔軟剤は嫌いで、タオルなどはカリッカリに乾くのがいい。
取り込んで、ピシッと畳んでしまっている内に、気持ちもスッキリしていく。

そういえば、毎月のいくつかの恒例行事も自分を整える節目になっているなぁ。

白髪染めのためにしているヘナでのカラーリング。
ヘナを塗るのに30分、ドライヤーで温めるのに1時間、その後緑色の頭のまま3時間放置・・・
と結構な手間がかかるのだけど、ヘナの香りに癒され、出来上がった綺麗なオレンジ色も嬉しくて。
忙しくても、月末に欠かさずやっている。
まぁ、欠かすと白髪が出てきてバッチくて嫌っていうことなんだけど。
美容関係に殆ど興味が無い私が、数少なくやっている自分のお手入れ。

月一で書いているプライベートのブログと、このキャリア・コンサルタントとしての連載記事も、私自身を整える大事な節目の行事だったりする。

今年の原稿はこれで最後。
いつもお付き合いくださっているアナタ様、今年も有難うございました。
来年もお互いに、自分の心と体を整えるためのアレやコレや、大事にしていきましょうね。

ご意見・ご感想など、下記よりお気軽にお寄せ下さい。

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齋藤 由里子
齋藤 由里子

さいとう・ゆりこ/キャリア・コンサルタント(CC)。横浜生まれ、大阪のち葉山育ち。企業人、母業、主婦業も担う欲張り人生謳歌中。2000年からワーキングマザーとして働く中、日本人の働き方やキャリア形成に問題意識を持ち、2005年、組合役員としてWLB社内プロジェクトを立ち上げ。2010年、厚生労働省認可 2級CC技能士取得、役員を降りた後も社内外でCCとして活動継続。個人・組織のキャリア・コンサルティング、ワークショップ、高校・大学生向け漫談講義などを展開、参加人数は延べ4200名超。趣味は海遊びと歌を歌うこと。 2017年からはCareer Climbing~大人のためのキャリアの学校~も主催。

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