salitoté(さりとて) 歩きながら考える、大人の道草ウェブマガジン

我が書斎、横須賀線車中より

2019-07-5
歳食いましたけど何か?

今年も後半戦に入った。
皆さま、前半戦は如何でしたか?
私は年始に描いていた目標通りにバッチリ!
・・・・・・・と行かないことも多いけど、「向き不向きより前向き」だけを武器に、後半戦も爆走したいと思います。

さて本題。
随分昔に読んだ、フランス贔屓の方の本に書いてあったことが、今でも印象に残っている。

曰く・・・
日本では、男女共に「女性の若さ」にやたらとこだわり、歳を取ったら終わりの様なムード。
でもフランスでは、女性が歳を重ねることは魅力的なこと、価値のあることだと理解されている。
まさに、我が意を得たり。

逆に鼻白んだのは、森高千里の「私がオバサンになっても」の歌詞。
有名な、「女ざかりは19だとあなたが言ったのよ・・・」というところ。
アホか!人の魅力の本質を全然解っていない。

この曲は1992年6月25日に発表されたそうだから、当時私は既に20歳。
歌詞に倣えば女ざかりを少し過ぎていた。

でも自分自身としては、自分の青臭さや未熟さ、力の無さ、自立していないこと、世間が狭いこと、それ故に感じる窮屈さや自由の無さに、
「早く社会に出たい、早くもっと大人になりたい・・・」
と切に願っていたので、こんなことを言う男は絶対にイヤだと思ったなぁ。

今はその倍以上、それどころか自分の子どもが当時の私と同じ歳頃になっている。
でもあの頃に戻りたいとか、若い頃は良かったなどとは全く思わない。
だって、自分自身のことすら何も解ってなかったもん。
未熟さや力の無さや世間が狭いことは相変わらずだけれど・・・あの若造の頃より今の方がずっとずっと自由で面白い。

もちろん、自分の衰えを感じるシーンは沢山ある。

例えば、食べる量を少し減らしているというのに全然痩せないとか。
お腹周りにお肉がついて、お尻にもついて、いくつかのズボンがはけなくなったとか。
目の下のクマが寝ても取れないとか。
顔についたシーツの皺の跡がなかなか取れないとか。

二の腕の下側のたるみもすごい。
プルンプルン、いや、たるんたるん。
もはや腕ではなく前足、振袖にならない様に気をつけねばならない。
でも一体どうやって?

姿勢も、気を付けないとオランウータンの様に前かがみになってしまう。
腹筋や背筋が弱ってきたからだそうな。
いけない、いけないと思って背筋を伸ばしてみると、今度は自分のお腹の出っ張りが気になる。
しかも、背筋を伸ばし過ぎるとふんぞり返っている様で、年々増しているふてぶてしさがより目立ってしまうので要注意。

白髪の増えるスピードも速くなって、月1回のヘナ染めでは若干間に合わなくなってきた。
しかも、白髪の量も多くなってきているから、ヘナの色の赤も増えて、かなりパンク。
でも、気に入っている。
だって性格もパンクだし。

残念ながら胸も大分垂れてきた。
以前、大きな胸のママ友は言っていた。
「私なんてほっておくと干し柿みたいにだらーんと垂れちゃうから、下から四つ折りにしてブラジャーに入れてるのよ」
良かったー、私貧乳で。

別の友人は、
「最近痴漢に遭わなくなってきた」
と言ったらうんと若い子に「そんなことはありません!」と言われ、自分が痴漢の対象でなくなったことを実感したとか。
まぁ、私は昔から遭わないのでこれは別問題。

先日は同僚の間で、美容院に行った時に自分の前に置かれる雑誌について、もののあはれを語りあった。
「家庭画報」を置かれると、「私はまだそこまでオバチャンじゃない!」と心が叫ぶ。
無理して自分で若めの雑誌を持ってくると、老眼で字が小さ過ぎて読めず。
さらに頑張って読んでみても内容についていけず。
そもそも、そこで無理する必要はあるのか?

スマホの指紋認証がうまく作動しない、と息子に言ったら、
「ボクもバイトでお皿洗いをした後はうまく作動しない、きっと洗剤のせいだよ」
と言うのでそうかと納得して同期に話したら、
「いや、それだけじゃなくて乾燥のせいもあるよ」
だって。
確かに、全身のカサカサ度合いも増えてるし、大体肌がより敏感になってるよ・・・
去年は酷い汗疹になっちゃったし!

スマホといえば、今年の2月に息子が帰省した時のこと。
彼がスマホの型が古い、動作が遅すぎてイヤだ、買い替えてから2年経ったから機種を変更したい、と言い始めた。

私が
「たった2年で替えるなんて資源が勿体ない、モノは長く大事に使うべきでしょ」
「大体1個いくらすると思ってるの、ウン万円単位なんだから!」
と相手にしなかったところ、
「今はそうじゃなくて、2年位で替える仕組みになってるんだよ。機能もかなり進化してるし、色々な設定で実質スマホの機械分がタダになるし、毎月の費用が安くなるプランもあるんだから」
と上手く言いくるめられ、大手電機量販店に連れて行かれてしまった。

渋々カウンターに並んで座り、いざお店の人の話を聴くと、まぁ息子の言う通りらしいので機種変更をすることにした。ここまでだけでもハメられた感満載だったのに、次に私が敗北感を味わったのは、自分のスマホ操作のスピードの遅さ。

お店の人はプロなので当然速い。でも息子も速い。
私は彼らの1/5、いや1/7くらいのスピード。
私が操作している間の2人の目線が痛い。

大体、お店の人が言っていることの意味がよく解らない。言われている操作もなかなかできない。
息子に
「お母さん、待たせてるよ・・・早くして」
と何度も言われ、ついにお店の人に渡して代わりにやってもらうことに。ううう、私ついていけてないのね。

帰り道、
「あー、恥ずかしかったー」
と息子に言われ、反省して原因分析をしてみると、フリック入力ではなく、パソコンと同じキーボード画面で両手入力をしているのも一つの原因らしい。
「お母さん、フリック入力を練習しなよ。すぐに出来る様になるから。その方が断然早いから。しかも片手で出来て片手が空くんだよ。便利だよ。」
と言われ、若干ムカつきながらも練習に励んだ。
今では立派に出来る様になったよ、えっへん。まだ女子高生よりは大分遅いけど。
まさに、老いては負うた子に教えられ。

反射神経が悪いのは昔からだけど・・・
最近はより悪くなっている自覚があって。
昔は自分で運転して134号線をドライブするのが大好きだったが、駅近のマンションに越して車を売ってしまってから15年。今やペーパードライバー、もう一度運転をする気には到底なれない。

精神的な反射神経はもっと悪くなっていて、羞恥心は減る一方。

肌が弱いことを言い訳に、元々お化粧は殆どしないのだが、以前は流石にリップ位はしていた。
でも数年前からやめてしまい、今では眉毛を描くのみ。
それも適当過ぎて、午後には大抵落ちているのがそのままになっていたりして。

お手洗いに行った後、パンツのチャックが全開のまま、なんてことも。
仕事のことで頭が一杯で、流したかどうか後で心配になって見に行ったりすることも。

歳を取るとキラキラしたものが好きになる、服装が派手になる、というのは聞いていたけど、私もご多分に漏れず、より自分の好みに突っ走っている。
チャイハネの服は増えるは、指輪の好みもどんどん激しくなって、メリケンサックと言われるは。

あの、ヒョウ柄+花柄、ゼブラ柄+水玉の服や、S・M・Lを遥かに超えてLL、3L、5Lサイズの服や、ウェストゴムのゆるゆるパンツが所狭しと並んでいるオバチャン専用の洋服のお店。
あれってどの町にも必ずあるよね?とっても不思議。
それだけ需要が高いってことなんだろう。
私はいつ、あのお店でお買い物をし始める様になるのかな?

大体、自分の年齢の持つ意味に、自分自身でイマイチ自覚がない。
気持ち的には小学42年生。
年下の子からどう見えるかを気にせず、ついつい気軽に友達感覚で、下手したら同年代感覚で話してしまう。
相手からしたらすごい年上のオバチャンと話している訳で・・・
怖がられない様に気を付けなくっちゃ。いや、怖がられている前提で気を付けなくっちゃ。

体の衰えを訴える同年代の友達も増えてきた。
私自身も、更年期がいつ来るのかな~、介護がいつ来るのかな~ということが、頭の片隅にはいつもある。

でもね。
周りから見たらそんな厚顔無恥なオバチャンになっていたとしても。

確実に、精神的には年々自由に、楽になっている。

自分の出来ること、出来ないこと、好きなこと、嫌いなことが分かってきて、選択に余り悩まなくなったり。
どういう風にふるまえば、社会の中でまぁまぁ上手くやっていけるのか、要領が良くなったり。
恥ずかしいこと、辛いこと、悪いことも沢山経験してきて、世の中の不条理さを割り切れる様になったり。
それでも沢山の人に助けられてきて、支えられて、人の温かみを信じられる様になったり。
肩肘はらずに、誰かに上手に甘えられる様になったり。

そういう経験や知見が、なんとも言えない味わい深さを出して、その人らしいムードを醸し出す。
お化粧や服装では到底ごまかせない、その人自身の人間性の魅力。
その味わい深さに比べたら、ピチピチして綺麗なだけの若さなんて全然浅いわー。

私の後輩女子の中には、そこを魅力に思った15歳位歳下の男子から告白された猛者もいるくらいだよ。
変わってるかもしれないけど、解ってるね!

大体、男子は所詮誰もが甘えん坊。
だから、達観して母性を炸裂させた方が断然モテる。
逆に、自分が甘えたい、頼りたい、とそこだけに拘っていると恋愛も長続きしない。
これホントよ、若手女子の皆さん。

だから、無理にアンチエイジングなんてする必要は無い。
守りに入らず沢山の経験を重ねて、皺の数だけ人間的に成長したと言えるくらい、自分の内面を磨き続けたい。
何より、笑い皺なら大いに増やしたい。

そんな訳で、毎年お誕生日が来る度に、「今が一番いい」と厚顔無恥に思っている私なのでした。
むふふのふ。

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齋藤 由里子
齋藤 由里子

さいとう・ゆりこ/キャリア・コンサルタント(CC)。横浜生まれ、大阪のち葉山育ち。企業人、母業、主婦業も担う欲張り人生謳歌中。2000年からワーキングマザーとして働く中、日本人の働き方やキャリア形成に問題意識を持ち、2005年、組合役員としてWLB社内プロジェクトを立ち上げ。2010年、厚生労働省認可 2級CC技能士取得、役員を降りた後も社内外でCCとして活動継続。個人・組織のキャリア・コンサルティング、ワークショップ、高校・大学生向け漫談講義などを展開、参加人数は延べ4200名超。趣味は海遊びと歌を歌うこと。 2017年からはCareer Climbing~大人のためのキャリアの学校~も主催。

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