salitoté(さりとて) 歩きながら考える、大人の道草ウェブマガジン

我が書斎、横須賀線車中より

2017-08-5
パラレルキャリアへの挑戦

ご報告が遅れてしまったが、今年、キャリアの学校を開くことにした。
学校名は【Career Climbing】~おとなのためのキャリアの学校~。

学校と言っても校舎があって、先生が居て・・・という形式ばったものじゃない。
ワークショップ形式で、皆でワイワイ楽しく真面目に話し合いながら、学び合いながら、明日から具体的に一歩進むため、リアリティのあるキャリア・プランを創り上げる。
よって、キャリア・コンサルタントの主な役目はファシリテーターとなる。

え?教えてくれないの?と言うなかれ。
「ロールモデルが居ない」という意見もよく聞くが・・・
キャリアは100人居たら100通り。
世の中に同じ人が一人として居ない様に、あなたの満足いくロールモデルも、居る訳がないのだ。
よって、誰かが教えてそれによって外側から形成されてしまうキャリアは、本当のキャリアではない。
自分で自ら内発的に見つけるのが本当のキャリアなのだ。

でも、たった1人で、これまでの経験や知識だけを頼ってより良いキャリアを創っていこうとすると限界がある。
1人の人が持てる時間にも情報にも限りがあるから。

よって、我々スタッフからは、キャリアを考えるための色々なフレームを提案する。
まさにこの「さりとて」で書いている様な。

それらを使ってワークをして、その結果を一緒に参加する仲間と話し合うことで、自分の思考を深めていく。
参加者それぞれがお互いに生きた教財となり、1+1>2の学反応が起きて、一人だけで悶々と考えていたら抜け出せなかったトンネルを抜け、これまで行動出来なかった背中を蹴飛ばしてもらい、前に進むことが出来るようになる。
また煮詰まったら励まし合い、頑張って進めたら称え合う。
そんなネットワークも創って欲しいと願っている。

カリキュラムは、今作っているモデルコースでは全7回。

◆Day1 場の活かし方を掴む、自分の強みを知る、キャリアとは何かを知る
◆Day2 自分の価値観を知る、キャリアゴールを描いてみる
◆Day3 キャリアのロングプランを描いてみる、3つの輪でGAP分析をしてみる
◆Day4 自分のリソースを点検する、お金のマネジメントについて知る
◆Day5 人のキャリアから学ぶ
◆Day6 アクションプランをつくる、ベーシックスキルを掴む
◆Day7 アクションプランのレビューをする、PDCAを回す

1回3時間で、約2週間置きに開講し、最後のDay7だけ半年後に開催するという構成。
内容の詳細は出来立てほやほやのHPにて是非ご覧くださいまし。

今は、ちょうど7月中旬からモニターコースを開講して、Day2が終わったところ。
参加してくれた皆さんのモチベーションも意識も高くて、事務局の我々も沢山のことを学ばせて頂いている。
とりあえず全6回分が終わったら、皆さんのご意見を伺って、この構成のままが良いのか、1日あたりの時間を延ばして日程は少なくした方が良いのか、カリキュラムの内容の順番や過不足はどうなのか、などなどを見直し、本コース開講に向けて準備をすすめる予定。

では私は、何故そんな学校を作ろうと思ったのか?
それは、大人にもっともっと元気になってもらいたいからである。

キャリア・コンサルタントとして、2010年に国家資格を取ってから、早8年。
前月号で書いた様に、有り難いことに毎年数回、大学や高校で、キャリアの考え方について子どもたちにお話をする機会を頂いていて、これはこれで貴重な機会なのだが・・・

社会に出てからの方がキャリアの悩みはより深く、より具体的になるのに、まだ十分な支援体制があるとは言いがたい。
大手の企業ではキャリア支援体制が充実し始めているところもあるが、それはごく一部。
まだまだ第一次定年後のセカンドキャリア支援がメインで、若年者からのキャリア支援は追いついていない。
小さい組織では猶更。

大人にキャリア支援をして、大人たちが元気になって、そのイキイキした後ろ姿を見れば、必然子どもたちも「大人になるっていいなー、楽しそうだなー」と思えて、将来に希望を持てるだろう。
そのために、キャリアに悩む大人たちが定期的に集まって、学び合える場を作りたかったのである。

一方、私は今も組織に属している一企業人であって、この様な活動を副業としてやることは出来ない。
今回立ち上げた学校も含め、こういったキャリア形成支援やワーク・ライフ・バランス支援活動はボランティアでやっている。

よく、
「そこまでやるなら独立すればいいのに」
と言われるが、それをやらない理由はいくつもある。

まず、私は個人的に、自分がキャリア・コンサルタントとして稼ぐことへの抵抗がどうしてもある。
キャリアの悩み相談に乗る時、仕事が無くて困っている人の相談に乗る機会がある。
仕事が無い≒お金も無い。
そんな人に、「相談料は〇〇円です」とお金を取ることがどうしても出来ない・・・。
でも、キャリア・コンサルタントを生業にしたら、それで自分自身も食べていかねばならない訳で、そんな悠長なことを言ってはいられなくなるだろう。

勿論、キャリア・コンサルタントを生業にしている人は他にいくらでも居て、その潔さとプロフェッショナル度合いは尊敬しているので、もしかしたら私自身、お金をもらうだけの自信がまだ無いのかもしれない。

だからむしろ、それ一本でやっている人と、違う立ち位置をキープすることで、差別化を図りたい。

違う立ち位置とは何か?
それは、鋭い現場感覚を持ち続け、自らが繰り出す言葉に説得力と迫力を持っている、ということである。

日本では、組織に属して雇われて働いている人が多く、私が相談に乗るのもそういう人たちである。
そして、私自身も組織の中でもがきながら自分のキャリアを模索している一個人で、自分の現場を持っている。キャリア・コンサルタントとして独立してしまうと、この現場を失い、現場感覚が鈍ってきちゃうのでは、という恐怖心がある。
現場のことが解るからこそ、各人のキャリアの悩みにより寄り添うことが出来るし、問題への解決手段も、より具体性を持って模索することができると実感している。

また、私はオリジナルの性格が相当俺様でワガママなので、独立してしまうと自分の好きなことだけに邁進して、そのせいで逆に自分のキャリアを狭めてしまう危険性がある。
組織に居る方が価値観やバックグラウンドや専門分野の違う多くの人と出会えるチャンスも多いし、大きな仕組みを学んだり、組織ならではの不自由さを打開しようとして努力したり、自分で思ってもみなかった新しい分野の仕事を与えられ、それに応えたりすることで、自分のキャリアの幅を広げる機会も多くある。

勿論、個人として独立するからこそ学べることも当然ある。
組織の看板を背負わず、組織のリソースを使わず、自分の真の市場価値を試し続けるという意味で。
今回、キャリアの学校を立ち上げるプロセスにおいても、フリーランスの仲間からは仕事の進め方で大いに触発されている。

例えば「いつから学校を立ち上げるか?」とスケジュールを相談していた時。
私が色々な準備を想定して「半年後?」と言った時のメンバーの反応は、
「さすが大手さんは、余裕がありますね~」

これにはショックを受け、良い意味でカチンとも来た。
「はいはい、わかりましたよ、悪うござんした。2か月以内に準備しましょ!!」
モチベーションにガソリンを注がれ、その後ガツガツ準備に励んだのは言うまでも無い。

組織に長く居る間に知らず知らず、要員に余裕があるためか120%丁寧に準備をして進める癖がついていたのだ。
それは悪いことではないけれど、機会を逃さないためには、70点主義で実践して走りながら同時に考えてPDCAを回すことが出来る気力・体力・スピード感を持つことも重要。

そしてこの仕事の仕方で学んだことは、きっと組織の中にも還元できる。

だから、どちらかを選ぶのではなくて、個人の名前での活動と組織での仕事を同時並行でやることにより、両方の場で成長して、両方の相乗効果で価値を生み続ける道はアリだと思う。
パラレルキャリア、もしくはポートフォリオ型キャリアとでもいうのかな。

これが、どこまで上手く行くか解らない。
でも、同時皿回しのお皿は何枚まで行けるのか、どれだけ相乗効果を生めるのか、とりあえず行けるところまで行ってみようと思う。

本当は会社以外でやりたいことがある、という皆さん。
会社かそっちか、と二者択一で悩まず、出来るだけ同時並行で進める道を探してほしい。
そのお手本の一人となるべく、まずはワタクシ、頑張りまーす。

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齋藤 由里子
齋藤 由里子

さいとう・ゆりこ/キャリア・コンサルタント(CC)。横浜生まれ、大阪のち葉山育ち。企業人、母業、主婦業も担う欲張り人生謳歌中。2000年からワーキングマザーとして働く中、日本人の働き方やキャリア形成に問題意識を持ち、2005年、組合役員としてWLB社内プロジェクトを立ち上げ。2010年、厚生労働省認可 2級CC技能士取得、役員を降りた後も社内外でCCとして活動継続。個人・組織のキャリア・コンサルティング、ワークショップ、高校・大学生向け漫談講義などを展開、参加人数は延べ3,600名超。趣味は海遊びと歌を歌うこと。

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