2011-11-6
「旅の賭け(サワンナケート/ラオス)」
朝の段階では、タイのムクダハンを9時くらいに出発するバスに乗るつもりだった。そうすればタイの国境を越え、ラオスのサワンナケートでバスを乗り換え、夕方にはパクセーというコーヒーの美味しい街に到着する。しかし、朝の散歩中、前日にムクダハンで知り合ったタイ人達と再会し、昼食に誘われた。一緒に食べればパクセーに到着する時間は遅くなる。本心としては新しい街に昼間のうちに到着したい。しかし、せっかく誘ってくれた彼らと過ごす時間も捨てがたい。何より彼らとは二度と会えない可能性も高いのだから。コンマ何秒の間に頭の中で考えた後、僕は昼食に行くことにした。
結局、ムクダハンの街を出るバスに乗ったのは夕方近かった。サワンナケートまでは一時間もあれば到着するだろうが、バスに乗り換えて、パクセーに到着するのは夜中になるだろう。国境を超えるバスの中で、この後の予定をどうするかを考える。本来であれば無理をしないで、サワンナケートに一泊するのが賢明である。ただバスターミナルから街まで出て、サワンナケートのホテルを探して一泊し、翌朝、再び長距離バスまで戻ることを考えると、たとえ到着は夜中になっても一気にパクセーまで移動してしまった方が楽なような気もする。優柔不断な僕は、なかなか決められない。
自分の中で賭けをした。バスを降りてすぐにパクセー行きのバスがあるようであればたとえ夜中到着になろうとも予定通りパクセーまで向かう。もし、バスがなければ予定を変更してサワンナケートで一週間、過ごしてみると決める。一応、メモ帳には「Paxe(パクセー)」の文字を書き、バスターミナルに到着したら、すぐ人に聞けるようにしておいた。
バスターミナルに到着し、降りる際、運転手にメモを見せるとパクセー行きのチケットを売っている窓口を指差してくれた。窓口に行くと三十分後にパクセー行きの最終バスがあるという。賭けに従い、そのままパクセー行きのバスに乗ることにした。
到着が深夜になることは間違いない。あらかじめ一泊分の宿だけは確保しておくことにする。バスのチケットを購入すると、ベンチに座り、前日、ガイドブックで目星を付けておいたホテルに持っている携帯電話で番号を押す。しかし、繋がらない。携帯電話の画面を見ると圏外になっている。国境を超えたばかりで、うまくローミングができていないらしい。
ポケットからタイバーツの小銭を取り出し、公衆電話の前に立つが、プリペイド式のタイプしかない。ラオスは小銭がない国なのだ。煙草を売っている中年男性にタイバーツの小銭を見せながら電話をしたいとボディランゲージで説明すると彼は別の公衆電話の場所へ連れて行ってくれた。国境に近い場所なのでタイの小銭が使える公衆電話があった。こうして片言の英語で何とかホテルに予約を入れることができた。とりあえず宿が確保できると開放感が一気に広がる。バスターミナルから見える夕焼けがやけに美しく思えた。
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