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イシコの歩行旅行、歩考旅行、歩行旅考、歩考旅考

2011-06-19
「外国人は泊まれない宿(モウラミャイン/ミャンマー)」

ホテルライフも旅先の楽しみの一つであり、ホテル選びも楽しみである。たいていインターネットのホテル予約専門サイトを利用して宿泊日数分だけ予約してから旅先に向かう。通常の料金より安く宿泊できるからである。ただ、いざ宿泊してみるとあっちのホテルの方がよかったなぁと後悔することも多い。不便な場所に建っていたり、窓からの景色がよくなかったり、ネット環境がよくなかったり…言いだしたら切りはない。既にカード決済しているので変更はきかない。

その環境も運として受け入れて楽しめばいいのだが、最近は一泊だけネットで予約をして、実際に泊まってから残りの日数を追加することが多くなった。気に入らなかったら、別のホテルをチェックしてから移ることもある。ネットの事前予約より多少、高くついてしまうが、ホテルライフの心地よさを得るための納得代だと割り切っている。

ガイドブックで見つけたモウラミャインの中級ホテルも一泊だけ予約をしておこうと思ったのだが、そのホテルにはホームページがなかった。電話予約すればよかったのだが、田舎街だから開いているだろうと予約しないまま現地に向かってしまった。幸い部屋は開いていて、しかも川沿いの部屋から見える夕陽が素晴らしかった。

一泊して、すっかり気に入ってしまい、このまま一週間、滞在しようと思っていたのだが、三泊目から予約が一杯で部屋がないと告げられてしまった。どうやらその週は十一月の満月の夜にあたり、ミャンマーでは一年のうちで特別な満月の夜らしく、国内どこも大きなイベントがあり、ホテルの部屋は軒並み、埋まってしまうようだ。

特にモウラミャインという街には高級ホテルがないため、高級ホテルに宿泊する客も中級ホテルに流れてくる。しかも中級ホテルは川沿いのこのホテルしかない(同じ系列のホテルがもう一つあるのだが少し離れている)。よって団体客が入ってしまえば、いきなり部屋はふさがってしまうのだろう。

仕方なく再度、宿を探すことになる。モウラミャインは基本的に川沿いの道ともう一本奥を走っている目抜き通りにしかホテルはない。目抜き通りに看板だけが妙に新しいホテルに向かう。暗くて急な階段を上がっていくと暗いロビーで初老の男性がテレビを見ながら一人で座っていた。彼は僕を見ると申し訳なさそうに「ノー」と言った。どう見ても宿が混んでいる様には見えない。そして続けて言った。
「アイ ハブ ノー ライセンス」
ライセンスと聞いて思いだした。ミャンマーでは外国人を泊めるホテルは専用のライセンスが必要なのだということを。

結局、ガイドブックに載っていた安宿に向かった。外国人用スペシャルルームと名付けられたダブルベッドルームの部屋を案内される。日当たりは悪いが、バストイレも清潔で、1泊18ドルと格安の割にはいい部屋だった。残りのモウラミャイン滞在は、この部屋で暮らすことにした。

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1件のコメント

ホテルの名前が出てきませんねえ~?

by saiouma - 2012/09/17 2:00 PM

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ishiko
ishiko

イシコ。1968年岐阜県生まれ。女性ファッション誌、WEBマガジン編集長を経て、2002年(有)ホワイトマンプロジェクト設立。50名近いメンバーが顔を白塗りにすることでさまざまなボーダーを取り払い、ショーや写真を使った表現活動、環境教育などを行って話題になる。また、一ヵ月90食寿司を食べ続けるブログや世界の美容室で髪の毛を切るエッセイなど独特な体験を元にした執筆活動多数。岐阜の生家の除草用にヤギを飼い始めたことから、ヤギプロジェクト発足。ヤギマニアになりつつある。

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