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イシコの歩行旅行、歩考旅行、歩行旅考、歩考旅考

2011-07-10
「バスターミナルは一つじゃない(バンコク/タイ)」

バンコクで一泊した後、長距離バスに乗り、世界遺産の街「スコータイ」まで行く予定だった。そのため、あらかじめ地図でバスターミナルの場所を確認し、バスターミナル近くのホテルを予約しておいた。

ホテルにチェックインした後、インフォメーションセンターでバスターミナルへの行き方をカタコトの英語で尋ねた。
「どこに行くんですか?」
小顔美人の受付の女性から笑顔で聞き返された。若い女性にどこに行くのかなどと問われると
「あれ?この娘は僕に気があるのかな?」
と勘違いしてしまう。ホントに困ったものである。
「スコータイ」
鼻の下を伸ばしながら答えていたに違いない。
「ノース バスターミナル」
彼女は僕の顔も見ないで手際よく無料の地図を広げると慣れた手つきで地図の北バスターミナルの場所に丸をつけた。言うまでもないが彼女は僕に気があるわけではなかった。

スコータイ行きのバスの発着場所は僕が思っていたバスターミナルとは全く違う場所だったのである。僕が地図で見つけたバスターミナルは、その前に「南」を意味する「サウス」という文字がついていることに僕は気づいていなかった。

バンコクを中心にスコータイやチャンマイなど北に向かうバスはノースバスターミナル、クラビーなど南に向かうバスはサウスバスターミナル、パタヤなど東に向かうバスはイーストバスターミナルとバンコクは行く方向によってバスターミナルの場所が異なるのである。

翌朝、タクシーでバスターミナルまで行こうか迷ったが、彼女に教えてもらった路線バスで向かうことにした。しかし、ノースバスターミナル行きとなる三番と書かれたバスは三十分待ってもやってこなかった。こんなことなら最初からタクシーで行けばよかったなぁ…と思い、タクシーにしようかと動き始めようとした時、三番のバスはやってきた。

乗車口から人がこぼれそうな程、満員だった。しかし、これを逃したら、次にいつ来るかわからない。この時にはタクシーという頭はなくなっていた。トランクとリュックを抱えて無理矢理、乗り込んだ。かきわけながら乗車賃を回収しに来る乗務員に、「ノースバスターミナル」と言ってポケットにあらかじめ用意しておいた二十バーツ札を渡す。距離によって値段が違うバンコクの路線バスに乗る際、ハウマッチと聞いても返ってくるタイ語がわからないので、行き先を告げて二十バーツを渡し、お釣りをもらうことにしている。

苦しそうなバスのエンジン音を聞きながら、1時間程、揺られ、ようやくノースバスターミナルに到着した。長距離バスに乗る前に既にぐったりしていた。ただ、不思議な達成感があることだけが救いだった。

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ishiko
ishiko

イシコ。1968年岐阜県生まれ。女性ファッション誌、WEBマガジン編集長を経て、2002年(有)ホワイトマンプロジェクト設立。50名近いメンバーが顔を白塗りにすることでさまざまなボーダーを取り払い、ショーや写真を使った表現活動、環境教育などを行って話題になる。また、一ヵ月90食寿司を食べ続けるブログや世界の美容室で髪の毛を切るエッセイなど独特な体験を元にした執筆活動多数。岐阜の生家の除草用にヤギを飼い始めたことから、ヤギプロジェクト発足。ヤギマニアになりつつある。

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