2010-12-24
塩塗り女のクリスマス
「奈落から、海老蔵ならばせり上がれ」
不肖の息子の記者会見で、、徳光さんから頂戴した激励の川柳を読み上げ涙ぐむ市川団十郎。件の暴行沙汰で無期限活動停止中の海老蔵の復帰については現在はまったくの白紙状態。この川柳にあるような「ガンバレ!海老蔵」の声が世間に高まってきたときが彼の復帰のときだという団十郎の言葉は、「それ見たことか!」の世間の風潮を真摯に受け止めてのことだろう。
それもこれも、ひとえに海老蔵の不徳の致すところとしかいいようがないが、たぶん本人自身、殴られた傷もさることながら、ここまで世間に愛されていなかったという事実も相当骨身に堪えたに違いない。
世間ズレなど微塵もない純真無垢な嫁・麻央さんは、「わたくしたち、生まれ変わらねばいけませんね」と、やさしく尽くす“愛され女房” のようだが、果たしてそんな背中をなでるような言葉で、奈落の底に堕ちた夫をひっぱり上げることができるのか。それこそ千尋の谷にわが子を突き落とす獅子のごとく、心を鬼にして、おのれの人徳のなさ、不甲斐なさを責め立ててあげることも、女房の苦しい務めである。メディアも世間も「こいつに比べたらよっぽどマシ」と思えるくらい涙を呑んで相手の傷口に塩を塗り込むことも、女の腕の見せ所ではなかろうか。
たぶん、団十郎の妻、海老蔵の母親・希実子さんは、そのあたりの塩加減が格段上のやり手と見る。「こんな騒動になったのは嫁の管理がなってないからだ」みたいな痛烈なひと言を、病室で看病する嫁の麻央に言ったとか言わないとか(週刊女性より)、もしそれが本当だとすれば希実子さん、身が引き締まるどころか縮み上がらせるほどの塩塗り名人であることは間違いない。
と、自分とはまったく関係のない海老蔵事件だが、そのニュースをTVで観た瞬間、もしやと思い当たったのは、事件現場となったあの西麻布のビル。これはひょっとしたら、ヤツが以前に調子こいて通っていた「超カワイイ子揃いのキャバクラ」が入ったビルではないか・・・
ヤツというのは、11年一緒に暮らす片割れパートナー。さっそく出稼ぎ出張中のヤツに電話して訊ねると、
「せやねん。おれもビックリしたわ」と、ずばりドンピシャ。しかも、あの海老蔵の血痕が残るビルの階段で、毎日お弁当を食べてたという、なんともしょぼいプチ情報通。
しかしながら、天下の海老蔵とまではいかずとも、ヤツもヤツでそれなりに自業自得の一大事に見舞われたこの年の瀬。詳細については「大変」というだけに留めて置くが、いずれにしてもわが家は今、クリスマスも正月もへったくれもなく「やるしかない」正念場を迎えている。ただでさえ年末進行の仕事に忙殺され、心身ヘロヘロ疲れ切っている最中、それ以上にしんどい「苦労の種」を持って帰って来られるとは。
どんなX’masプレゼントやねん・・・
でも、こんなふうに相手が窮地に追い込まれたとき、あえて何も言わず、何も訊かず、黙って温かく見守るのが、出来た女の振る舞い方なのだろうか。それこそ麻央さんのように「生まれ変わらねばなりませんね」とシスターみたいに優しく導き、後は本人の立ち直る意志にまかせるのが素敵な奥様なのか。
いやいや絶対、自分はムリ。黙って見守るくらいなら、黙って出て行く。そこで一緒に居るのなら、ほとほとやるせなく、情けない思いを全部ぶちまけ、責め立て、締め上げ、こらしめて「ここまで言われて悔しくないんか!」「悔しいです!」とがっしりスクラム組んで明日に向かって突き進む俺たち・・・みたいなカタルシスを得るところまで熱苦しく罵倒せしめたいわたしである。
どう足掻いても、岐路に立つ男の背中を黙って見守るような芯の強い女になれるはずがないし、おそらく芯はめっぽう弱い方だと思う。その分、口は立つし、アクが強い。だからなるほど、どれほど言っても言い足りないツッコミどころ満載の相手とコンビを組んでいるわけか。黙って付き従えば間違いのない「どえらい男」に縁がないのも自業自得というヤツか。
しかもこの黙って見守れない性格は、祖母、叔母、母親、わたしへ脈々と受け継がれているDNAと言おうか、直系の女たちは揃いも揃って後家か離婚か、一生添い遂げた女性が1人もいないのは、さすがに考えものである。
やはり、今年もイブの夜は教会へ。アクの強い塩塗り女の罪を悔い改めに行かなければ。
1件のコメント
自分のことでなんやかんや忙しくて全然、たがわさんのコラムを読む時間を持てずにいました。ごめんなさい。
今日は眠れないのと少し落ち着いたのとで、やっとさりとてさんを開きました。
たがわさんのコラムを熟読している私の患者さんはたがわさんの相方さんの存在も知っているのだなぁーといま気付きました。
うちの治療院の窓看板にとても興味を示していました。
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