2012-03-22
食文化と人間性
ニュージーランドに住んでいた時、ニュージーランド料理ってどんな料理と日本の友人に聞かれる事が多かった。揚げ物天国のフィッシュ&チップス、ハンギと呼ばれるニュージーランド先住民マオリ族の伝統蒸し料理、ボイルアップもマオリの料理。では、ニュージーランド料理とは。
農業国であり、素材が美味しいニュージーランドに置いて、料理で味付けする事はもしかしたら少ないのではと気がついたのはニュージーランドに滞在してから結構経ってからだったと思う。Cookという英語、料理であるが、彼らにしてみたら、調理なのかもしれない。火を通して、食材を食べられる状態にする。そして、味見もせずに、まず塩、胡椒、トマトソースをかけてから食べ始める。
日本には、その家庭ごとに味付けがある。関東風、関西風、私の両親は2人とも北海道出身である為、家の味、母の味というのは北海道風の味付けなのであろうとおもう。そしてその母の味で育った私もまた、同じような味付けが好きなのだ。たまに他所で料理を食べた時でも、家の味に似ているとすごく親近感を覚えるのである。家の味、決まった味。
ニュージーランド人の友達も彼の母親の味がやっぱり一番だと言っていたのを思い出した。その料理はパイとビーンズスープで、ごちそうになった彼女の作ったベーコンエッグパイは本当に美味しかったのを覚えている。パイ料理は日本では口にする機会が少ないが、ニュージーランドでは、ミートパイ、ビーフ&チーズパイなど手のひらサイズのパイがコンビニの様なお店やカフェで日本のおにぎり感覚で売られている。
しかし、母親の味と言っていたパイにトマトソースをかけて食べていた私の友人、やっぱりニュージーランド人だと思った。味が完成していないのがニュージーランド料理という事なのだろう。
私の知るニュージーランド人は、あまり細かい事を気にしないおおらかな、ゆったりとしているイメージである。切る、焼く、煮る、蒸す、そして塩胡椒トマトソースといった食文化からもそのおおらかさが伺えるような気がする。完成していな料理に自分で味付けするとでも言うのか。
醤油何cc、酒何cc、砂糖何g・・・細かく分量の決められた配合で調味料を合わせ、味を決めて完成した料理を食べる日本の食文化は、日本人のきめ細やかな人間性を形成しているのかもしれない。
両極端に思えるような異なる食文化と人間性を持つニュージーランドと日本であるが、ともに島国であるという共通点を持ち、お互いに親近感を持っている様に思う。実際にニュージーランド人には親日家が多い。
こうして考えると、食文化が人間性を左右しているのか、人間性が食文化に影響を与えているのかは定かではないが、未完成型のニュージーランドと完成型の日本という対比が私の中で出来上がる。実に興味深い。
久しぶりにニュージーランドのパイが食べたくなりました。トマトソース添えで。
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