2011-12-9
ようこそ、すり鉢の世界へ
子どもの頃、多分家にはすり鉢があったと思うのだけれど、
いつの間にかそれは手入れが面倒とかの理由でなくなってしまい、
しばらくすり鉢の存在を忘れていた。
大人になってすり鉢に再会したのは、民間療法の手当を勉強していた時。
とある豆をすり潰すために購入したのは、とても大きなすり鉢だった。
ホームセンターにすり鉢を探しに行くと、置いてあるのは2種類だけ。
どちらか悩んで、底面に滑り止めのゴムがついている、
島根県の石見焼きのものを買った。
それからというもの、私は取り憑かれたように色んなものをすり潰す。
ごま、じゃがいも、胡椒、炙ったパプリカ、お豆腐。
素材はすり鉢の中で、どんどん形を変えて行く。
ごりごりごり。
ざっくざくざっくざく。
するするするする。
フライパンで少し煎ってからするごまは、
ごま和えをずっと格別なものにする。
すり鉢で作ったポテトサラダは、マッシャーで潰すよりよほど
愛想がある代物になる。
何故、私はこんなにもすり鉢が好きなのだろう。
すり鉢を抱えてすり棒をまわす時、
理屈で言い表せない安堵が訪れる。
この気持ちは多分、原子のどこかが覚えている、
私の遠い記憶とリンクしているのではないのだろうか。
夜の台所で、すり鉢を当たる。
この幸せはなんとなく、良いも悪いも、きれいも汚いも、
複雑さも雑多さもごちゃまぜに、おおらかに世界を歓迎する
星野源の音楽を聴くのと少し似ている。
♪ようこそいらっしゃいました どうぞ、どうぞ
「夜中唄」/星野源
先日、サンディー先生のツアーでご一緒したキーボーディスト
清水一登さんもすり鉢が大好きと言って下さった。
サンディー先生はそんな清水さんと私を、「似ている!」と仰った。
もしかすると、いつかの時代で同じ記憶を共有したのかもしれないですね..。
私のすり鉢レシピをさらに広げてくれたレシピ本。
横浜ベイクォーターのDOORS の本コーナーで見つけたお気に入りの一冊。
高山なおみ著「高山なおみの料理 」
先日の名古屋クリエイターズマーケットで手に入れた常滑のすり鉢屋さんのミニすり鉢。4.5号でちょっとあたるのに便利で、なかなか秀逸なすり心地。
1件のコメント
はじめまして。
すり鉢屋さんからこのブログにやって来ました。
すり鉢をはさんで二人で(親子や夫婦で)
おさえる人とすりこぎをまわす人という光景はすてきです。
そこに必ず会話が生まれるから・・・。
今日ね〜こんなことがあったの・・・などなど。
よいコミュニケーションツールです。
とブログを読ませていただいてそんなことを感じました。
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