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2014-03-5
2つの手でふれて〜手当の話〜

「手当」と言う言葉にいつも反応してしまう。

痛いところに手を当てると、手のひらの先に感じられる温度が身体を温めてくれて、そして痛みが薄らいで行く。手の先から何か出ているのか。多分、「気」は出ているのだろうけれど、それが痛みを治癒してしまうのとは違う、不思議な力を持っているような気がしていた。

「いたい、いたいの、とんでっけー」
小さい子どもが怪我をしたりどこかぶつけたりした時、痛いところを手で触って、痛みを遠くに飛ばしてしまうと、小さな子どもは本当に痛みがなくなったような気がして、キョトンとした顔をする。その痛みを遠くにいるおじいちゃんなど目がけて投げると、キャッチしたおじいちゃんがわざとらしく「イタタタタタ」と騒いで、その様がおかしくて、子どもが笑い出す。こんな微笑ましい、どこにでもある光景は、手当を使ったちょっとした遊びだ。

我が母娘はあまりスキンシップをするような関係ではなかったけれど、亡き母が闘病していた頃には、身体のどこかに触れるだけで安心した面持ちになっていたのを今でも思い返すことがある。母が頑張って取り組んでいた「自然療法」の数々も、「手当」と呼ばれる日本古来から伝わる民間療法の類だった。

そして先日、私の健康追求歴の中では究極と言えるような「手当」に巡り会った。

鎌倉の由比ガ浜で「1の鳥居整骨院内」に「mar・マール」というサロンを開いて活動する、セラピストの加田洋子さんが行っているのは、「クラニオセイクラルセラピー」と言うもの。先日加田さんが主催する「おうちで出来る家族のためのお手当講座」というワークショップに参加して、初めてクラニオを体験した。通称「お手当」と呼ばれるこの自然療法は、本当に手を当てるだけで深い安らぎを得られる不思議なセラピーだった。

(まだこのセラピーを知ったばかりでおこがましいが)言葉が難しいのでかんたんに説明すると、「クラニオ=頭蓋」、「セイクラル=仙骨」を意味する言葉。どんな療法かと言うと、人の身体を包む膜を緩めることで、頭蓋から背骨、仙骨を流れている「脳脊髄液」の流れを促して、自己治癒力を高めるというもの。アメリカ発祥の自然療法だ。

衝撃だったのはまず、身体に流れる体液で「血液」や「リンパ液」に加え、「脳脊髄液」という液体があるということ。「脳脊髄液」はたったコップ1杯分ほどの透明な髄液だそうで、人の頭部を覆う、硬膜、くも膜、軟幕という3層の膜のうち、その2番目にあたるくも膜の下にある“すき間”に循環しているそう。そのくも膜を含む、人体を包んでいる「膜」(例えば、横隔膜や腹膜など)にアプローチして緩めると言うのが、クラニオで行われることで、ワークショップでは「お腹と背中」、「両耳」、「背中と仙骨」という3つの箇所に行う手当を教わり、実践した。

2人1組になって手を当てるだけなのだが、手当をするごとに参加者の皆さんの顔つきが緩んで、目が開き、みんな、本来の美しさを取り戻して美人さんになっていた。ゆっくりと5分から10分ほど同じ場所に手を当てているだけだが、やっている方もぽや〜んとして眠たくなってくる。受けている方は、お腹に手を当てている時ならば、お腹の奥の方がじょじょに緩んで、身体が自分で居心地の良い場所を探すみたいに“ふにふに”と動いて調整しているのがわかった。

「手当」でもたらされるリラクゼーションは、つい交換神経優位になってしまいがちな現代人の副交感神経を呼び起こして、自律神経を整えてくれる。アロマテラピーの先生にも教わったことだけど、「治癒」は本当に、自分でしかできないことなのだと思う。「手当」にしても、誰かのサポートがあるにせよ、実際に体内や心を整えているのは自分自身の身体なのだ。

ワークショップで教わったことで、とても好きだったことがある。それは「手当は必ず両手で行う」ということ。後から加田さんに理由を尋ねたところ、「両手で行うことで安定する、安心する」「両手で挟むことで『気』のようなものが流れて心地よくなる」「特に日本人は両手を使う所作が多いので、余計に心地良さや安定感を感じるのかもしれません」とのお答えをいただいた。
「片手間」にするのではなく、「両方の手」、「2つの手」で相手に触れることで初めて、「人の間=人間」にゆっくりとした意識と、暖かいものが巡り始めるような気がする。

この文章を書きながら、クラニオを受けていることを想像するだけで、身体の膜が緩んで心地よくなっているのは気のせいか…。ともかく、クラニオに出会えた自分の感度は、自分で褒めてあげたい位だ。もちろんワークショップで習ったことは家庭でもできるようにかんたんに砕かれた内容であり、クラニオの世界はもっともっと奥深いと思うが、せっかく手当を習ったので、まずはセルフケアをしてみている。夜、寝る間際までパソコンやスマホを手放せない私は、頭が興奮して眠れない日も多い。そんな時は、ラベンダーのオイルを足裏に塗って、右手で丹田、左手で背中側のお臍の下に触れるだけで、あっという間に眠りの世界に突入してしまうのだ。ライブ前の緊張もこれで解決。いつもひどい肩こりもこれで少しほぐすことができる。

自分で自己治癒できる身体づくりが、今後の健康&メンタルケアの指針になりそう。

<The Cloudtails>
1stアルバムリリースツアー
◎2014年3月21日(金・祝)逗子 渚小屋※追加公演
http://kuromoncc.exblog.jp/i9/
◎3月21日(金・祝)自由が丘hyphen ※追加公演
http://r.goope.jp/hyphen

◎3月23日(日)春を味わう さくらライブ in 名古屋大須
Caffè Italiano 大須本店 Due
http://on.fb.me/1k6gW3N

<吉廣麻子ソロライブ>

◎2014年3月11日(火)渋谷WEEKEND GARAGE TOKYO
http://weekendgaragetokyo.jp
◎2014年3月15日(土)
朝倉弘平 個展「 黄 色 い 雨 と 青 い 火 山 」
ク リ エ イ テ ィ ブ カ フェ Kichi
http://on.fb.me/1o1WQoI

詳細は吉廣麻子オフィシャルブログ及びFacebookで。

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Asako Yoshihiro(The Cloudtails/Bon Voyage)
Asako Yoshihiro(The Cloudtails/Bon Voyage)

吉廣麻子(The Cloudtails / Bon Voyage)シンガーソングライター A型、蟹座。旅好き、B面好き。 2001年よりBon Voyage(ボンボヤージュ)ボーカルとして活動。2012年、アメリカン・ルーツミュージックとアコースティック・ジャズをブレンドしたThe Cloudtails(クラウドテイル)を結成。現在、ソロ活動にも力を入れている。 Facebook | blog

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