2012-05-2
江の島
暑さ寒さを繰り返す、まだ肌寒い春の合間、
夏のようにさわやかな一日がやってきた。
最初からその日は行こう、と決めていた。
私にしては珍しい、一人きりのドライブだ。
江の島は時折、無性に訪れたくなる。
もちろん、江島神社が芸事の神様である弁天様を奉っている
というのもあるが、それにしても引きつけられる何かがある。
以前、黄金週間中に江の島を訪れた時には、偉い目にあった。
アジアのガイドブックにでも載っているのか、
日本人のみならず、雑多なアジア人も含めた多すぎる観光客で
島は賑わい、それどころか、用があるのに、島にたどり着けないしまつ。
江の島は黄金週間に行くものではないと、その時悟った。
この日は平日も平日、穏やかな火曜日だったが、
それでも手前の駐車場は常に満車だった。
仕方なく奥の公営駐車場に車を置いた。
ここは終日670円。
一日いる人には安いが、少しだけ駐めたかった私には高い。
おかげで、当初、七里ケ浜へ行く予定にしていたのを断念した。
車を降りて、まずは江島神社を詣でる。
なんとなく慣例化している江の島参り。
そして、今年初めてのおみくじをひく。
「大 吉」
思わず笑みがこぼれたが、
よく読むとあまりいいことは書かれていなかった。
「危険な橋を渡るような心配なことがあり
驚きと苦しみもありますが、
あとはすべてなごやかに喜びがおとずれます。」
あの、すみません、神様、
これは本当に「大 吉」なのでしょうか…?
項目別に見ても、「うまくいく」と書かれた部門は何一つない。
迷った末、それでも「大 吉」と、境内には結びつけず、
持ち帰ることにした。
山を降りる途中、決まって立ち寄るのは「井上総本舗」というお店。
ここでいつも、アイス最中を食べるのだけれど、
今回、間違えて、一つ手前のお店に入ってしまった。
こちらは「紀の国屋本店」。貝の形をした最中が特徴。
いつもと最中の形が変わったので、おかしいな?と思いながら、
サザエの形の、抹茶アイス最中を頼んだ。
お味は…私は井上の分厚い最中の方が好みかな。
でも、かわいいから、いっか。
一服して満足したから、もう一つの目的地、海へと歩きだすことにした。
さっきも書いたけれど、この界隈で私が一番好きなビーチは
なんと言っても七里ケ浜だ。
だけど駐車場の都合で一度出庫するのがもったいないし面倒だしで、
今回初めて、江の島の前に広がる東浜に行ってみた。
ちょうど干潮時で、江の島大橋の下に陸が現れている。
北緑地から海辺に降りる柵をひょんと乗り越えて、浜に降りた。
いつも歩いたり車で走ったりして渡る橋の下を、
くぐれるほど潮が引くとは知らなかった。
まぶしい光の中で、迷いなく靴下を脱いで、波に足をひたしてみる。
私だって、そんなに海が好きな訳じゃない。
だけれど、静かな波が足を浸すとき、
そっと安堵も一緒に連れて来るみたいになる。
一人、優しい気持ちになって、夏らしい一日に我が身をも浸す。
街の中で溜まった毒を、海にかえす。
iPhone の中に映り込む人の影は、誰もが幸せそうだった。
不安な一年が過ぎて、暖かくなって来て、
ようやくみんな、ホッとしたかのように見える。
波打ち際を134号線沿いまで歩いたとき、
振り返ると、イメージの西海岸が広がっていた。
ココハドコダロウ?
一人でいることに慣れていないから、どこへ行ってもいいよ、
と言われると逆に不安になる。
急に淋しくなって、ふっと気づいてしまった。
自由に対する、私の哲学。
最初から、本当の自由なんて欲しくなかったのかもしれない。
ナンテことを。
江の島は小さな島ながら、色んな表情を持っている場所だ。
時間があれば島の反対側にある稚児ヶ淵(ちごがふち)の方に
出るのも良い。
眩しい光と、岩場に打つ波を見ていると、少し不思議な気分になる。
あるいは、一緒に行った彼氏と、もっと寄り添いたくなるかもしれない。
その先にある江の島岩屋はあまりおススメではないけれど、
一度くらいは入ってみてもいいかもしれない。
なんにしろ、山を越えるなら、歩きやすい靴をおすすめしたい。
江の島を甘く見ると、あとで後悔するのだ。
そうして歩いて、
あなたの好きな江の島スポットを、見つけてみてはいかがでしょう?
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