2013-03-8
高橋恭司”ブルーブルー”ーデレク・ジャーマンの庭ー展
写真家・髙橋恭司氏が、デレクの庭を撮った写真展を開催しているというので、新宿高島屋の美術画廊に出かけた。
デレク・ジャーマンは、同性愛などをテーマにした作品を手がけたイギリスの映像作家で、1994年にAIDSで亡くなるまでの晩年、イギリス南部のダンジュネスという原子力発電所の危険区域にある漁師小屋に暮らしていた。「プロスペクトコテージ」と彼が呼んだ家の周辺は砂漠で、彼はそこに、荒廃と温もりが混沌と入り交じった庭を生涯をかけて造って行った。そんな彼の庭は、私の心の中にある庭の風景とよく似ている。デレク作品は得意ではないけれど、デレクの庭にはなぜか、強く心を惹かれてしまう。
そんなデレクの庭を撮影した高橋さんの写真展。作品を前にして、「ヴィンテージプリント」の色の美しさに、頭の中で炭酸の泡が吹き出したみたいになった。つまり、興奮状態に。最近ではフィルムの写真すら見る機会が減り、いかに自分が0と1の世界に毒されていたかに気がついた。液晶モニターではとうてい表せない、繊細かつ巧妙な色彩、その温度。私の心の庭に、風が吹く。
90年代初頭に撮影された「ヴィンテージプリント」は、すでにフィルムがないそうで、作品は本当の一点物。とても貴重な作品だ。
写真展は3月11日まで。詳細はこちら。週末には髙橋氏ご本人も在廊されるとのこと。
写真は、1990-92年に開催された「STRAIGHT PHOTOGRAPHS」と、2011年の「Pashmina」の写真集。
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