2012-06-4
BankART Studio NYKー歴史的建物でアートする
6月最初の土曜日、お昼にぽっかりと時間が空いたので、以前から行ってみたかった「BankART 1929」が手がけるカフェへと出かけた。
「BankART 1929」は横浜市が推進するプロジェクトの1つで、歴史的建造物を文化やアートの実験的な場として活用しようというもの。最初に手がけられたのが旧第一銀行だった建物であることから、「BankART(バンカート)」という名前がつけられている。
場所は、馬車道駅徒歩数分。日本郵船歴史博物館のレトロでお洒落なロゴを見つけたら、目的地は近い。その隣にある日本通運が入ったビルの裏手に、「BankART Studio NYK」はある。
思ったよりも広い、リノベーションというにはあまり手のかけられていない倉庫を活用したスペース。アート関連の書籍売り場のむこうのカフェは、想像よりもずっと、こじんまりしていた。
土曜日の午後だというのに人気はなく、テーブル席ではアーティストらしい年配の男性が、かなり高まった勢いで紙にペンをなぐりつけていた。私はその様子を、しばし、とても興味深く眺めた。
それからキャッシュオンで、辛口のウィルキンソンをオーダーし、赤レンガ倉庫とベイブリッジが見渡せるテラス席を確保する。
隣の席では5,6人の若い男の子のグループが、大きな笑い声をたてて喋り続けていたが、大して気にもせず、ジンジャーエールをグラスに注いだ。シュワシュワと、グラスの中に、黄金色のソーダが揺れる。
何の予定もなくぼーっとするのは、どれくらいぶりだろう。
向こう岸には絶え間なく往来する人影と、コマーシャライズなイベントで賑わう世界があって、それに反してこちら側には、そんなものとは一切無縁の、身勝手な時間が流れて行った。
日が落ちて肌寒くなってきたので帰ろうとした時、カフェの奥にホールがあることに気がついた。受付の女性に聞いてみると、2F、3Fもギャラリーになっていて、今はオープンスタジオとしてアーティスト達が制作をしているという。見学ができるというので、受付のiMacにメールアドレスを登録し、入館証をもらって上階へとあがった。
だだっ広い元倉庫のスペースを区画分けして、若いアーティストさんが制作に励んでいる。話しかけるとみんな人懐っこく応対してくれて、近頃のアーティストって社交的なんだな、と思う。考えてみれば、社交的じゃないアーティストは、こういう共有スペースにはやってこないのだろうけれど。めいめいが、初夏から夏にかけての数ヶ月、ここをアトリエとして制作活動をするのだ。
「まだアイディア出しの段階」と目を輝かせていた女の子のメモ。
主は留守の道具たち。
何を作っているんでしょう?
テラスからは横浜港の夜景を一望。こんなところで私も制作してみたい。
5月いっぱいで予定していたBon Voyageのイベントごとが一段落し、さて、これからどうしよう?なんてのんびりしていた矢先、ものづくりに励む人たちに会って、自分にとってのものづくりとは何か?をもう一度自問自答してみる。
自分の中から一体どんなものが出て来るのか、わくわくしながら、迷いながら、また、スタート地点に立つ。そんなタイミングに相応しい場所へのショートトリップ。
カフェはとてもリーズナブルだし、席の感覚も広々しているので、みなとみらいの喧騒に疲れたら、ちょっと足を伸ばしてみるのもいいかもしれない。
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