salitoté(さりとて) 歩きながら考える、大人の道草ウェブマガジン

ジャズベーシストが語る超私的JAZZのはなし

2014-05-25
音楽は才能か?

ライブにきたお客様に言われることの多い言葉。
「才能がある人はいいわね〜」

この言葉を聞くたびに、「才能があれば、ほんとにいいですよねー」と思う。
あくまで私の場合ですが、今まで音楽をやってきて思うけど、音楽は「才能」ではない。どちらかというと、「訓練」であると考える。
どんな物事もそれなりに訓練すれば出来るようになると思う。音楽だけが特別なわけが無い。
音楽は「才能」がないとできない、と思っている人が多いんじゃないかな。

「才能」うんぬん、と言われるたびにフクザツな気分になる。だって、練習しなければどんどん下手になっていくし、音楽を耳にしなければ何にも弾けなくなる。努力、という言葉は好きじゃないけど、訓練と継続と努力が必要だと思うのよね。

もちろん、好き、嫌い、向き、不向きは多少あるだろう。私は小学生の時から鼓笛隊に入っていたし、スポーツよりも音楽に興味があった。でも、ミュージシャン仲間にはずっとサッカーや野球をやっていて、大学生の時から始めた、という人もいる。

ジャズという音楽はアメリカで生まれたもの。日本人でずっと日本で育ってきた人にはなじみが少ない音楽だ。それを修得しようとすればある程度の訓練が必要になってくる。

音楽を聴いて、拍子を取る。このことだけとっても、日本とアメリカでは大きく違う。

日本の音楽(民謡とか演歌)だと、4拍あるうちの1拍・3拍で拍子を取るのが自然だ。でも、ジャズの場合、2拍・4拍で拍子を取る。このことができない人が意外に多い。
たまに人に教えることがあるけど、ジャズを演奏するのに、なんだかリズムのノリが変だな、と感じることがある。その場合、音楽を聴く時に拍子を1・3拍で取っている場合がほとんど。それを2・4拍で感じ直すだけで、リズムがいきなり良くなる。最初は2・4拍で拍子を取ることはけっこう難しいかもしれない。
私も最初は出来なかった。アタマで考えるとかえってできないので、とにかく音楽を聴く時には2・4拍で手を叩くことにしていた。すると、しばらくすると、そのことが自然になり、体にリズムが入ってくるようになった。
ジャズの場合は次は、3連符を感じる、というステップがある。これはさらに難しい。これは、私の場合、歩く時に「タタタ、タタタ、タタタ、タタタ」と感じるようにしてなんとかクリアした。

楽譜を読む、ということもすごい「才能」のように言われることがある。クラッシック奏者の方の方ほうが譜面には強いと思うけど、私たちも一応読める。
けれども、ベースの楽譜はピアノ譜と違い、へ音である。ト音記号で「ラ」の音の位置がベースの「ド」の位置。最初は読めなかった〜。ややこしくて。最初は口で「ドレミファソラ・・・」と言いながら五線紙を数えていく、という状態。でも、そのときに習っていた先生から「誰でも最初は読まれへん。だんだん読めるから!」と励まされ、現在に至っている。

もちろん、才能がある人はいるでしょう。天才的と思える人もたまにいる。
けど、多くの人はそれなりに一生懸命練習しているし、人生の時間のほとんどをそのこと(音楽とかスポーツとか)に捧げていると思う。はー。練習しよっと(さぼり気味です・・・)。

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今回はCDの宣伝です。
4/30に私の参加する「吉野ミユキカルテット」のCDがでました。
各方面からよいレビューをいただいております。
女性4人のバンド。女性バンドというのは続けていくのが大変です。いろいろな意味で。
でも、このバンドは長いなぁ。CDジャケットの撮影は、さりとて「知になるピープル」でも撮影されている、岡崎健志さんにお願いしました。写真がいい!!!(どういう意味!?)と評判のCDです。もちろん、演奏もいいですよ!ぜひ聴いてみてくださいね。

『STARTING POINT 吉野ミユキ』
「キャリアと実力に富む女性4人ならではの濃密なサウンドが魅力的な新作―瀬川昌久(ジャズ評論家)」
DLC-2 ¥2,400(+税) doLuck Jazz
吉野ミユキ(as) 外山安樹子(p)
若林美佐(b) 鈴木麻緒(ds)
全国のレコード・CDショップ、ネットショプなどで好評販売中!
吉野ミユキのWeb Sight 

ご意見・ご感想など、下記よりお気軽にお寄せ下さい。

2件のコメント

昨日のライブで当サイトの紹介があったので訪れました。その場でちょっとしゃべりすぎたかなと反省しています。

さて、才能と訓練という話は興味深いです。それに加え、継続と努力にも言及されており、言い古された言葉ですが、「好きこそものの上手なれ」を思い出します。また、よき師や助言者、間違った方向に進まないような注意力も必要でしょうか。ふと「ポールチェンバースの悪い癖を避け、あのタイム感を身につけたり、楽器の音色を作るためには、どのような努力が必要か?」などと思います。

機会あれば、またライブに行きたいと思います。ディア・オールド・ストックホルムあたりを聴いてみたいです。

by 青の中へ - 2014/05/30 7:08 AM

ずいぶん遅い返信ですが・・・。ライブにお越しいただいてありがとうございました!本当に好きこそものの上手なれ、です。上手になるのに少々時間はかかりますが。
また是非ライブに来てください。Dear Old Stockholmは私も大好きな一曲です。練習しておきますので!

by misa - 2014/06/24 7:34 PM

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若林 美佐
若林 美佐

わかばやし・みさ/ジャズでは珍しい女性ジャズベーシスト。奈良県出身。小学3年生から打楽器を始め、大学生の頃にジャズベースに興味を持ちエレキベースを手にする。一旦は就職し、真っ当な社会人生活を送るも、「ジャズベーシストになってみようかな・・・」という思いから退職し、ウッドベースを習い始める。同時に(強引にも)プロミュージシャンとして活動を開始。2002年にはNYに渡米。帰国後、活動拠点を関東に移し、現在は首都圏、関西を中心にライブ活動中。

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