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ジャズベーシストが語る超私的JAZZのはなし

2012-10-8
やっぱり私は、Paul Chambers!

日本で一番有名なジャズベースプレイヤーと言えば、多分、Ron Carterだと思う。その昔、洋服のCMにも出ていた。横断歩道をかっこよくスーツを着こなして、さっそうとベースとともに歩いていく、そんな場面があったように記憶している。

ジャズクラブで演奏しているとよく「好きなベーシストは誰ですか?」と聞かれるけど、多分多くの方は私が「ロン・カーターです」と答えると思っている(ように感じる)。私が「・・・と・・・と・・・なんかが好きです」っていうと、「ロン・カーターは?」って聞かれる。それくらい有名だ。というか、彼しか名前を知られているベーシストがいない、とも言える。

正直に言いましょう!私はあまりロン・カーターは聴きません・・・。
でも、ほんとに素晴らしいレジェンドです。60年代のMiles Davisのレコーディングのなんて、驚愕としかいいようがない。
少々、音色が好みではないのであまり聴かないというだけです。

ジャズベースを習い始めた頃によく聴いていたのはRay Brownだった。一番最初にハマったベーシスト。教則本も出していて、最初にそれで練習した。
ピアニスト、オスカー・ピーターソンのトリオでの活躍がおそらく一番有名だと思う。私もオスカー・ピーターソンTrioの演奏はよく聴きました。まだ聴いたことのない方は「We Get Requests」を聴かれるといいと思います。これは名盤と思う。

その後、色々なレコードを聴くようになって、かっこいいベーシストをたくさん聴くようになるのだけど、一番好きな人は?と聞かれると、やっぱり私は、Paul Chambers!
ポール・チェンバースは50年代〜60年代にかけて活躍(という言葉ではおさまりきらない)、ジャズにはなくてはならないベースプレイヤーだ。
この人は若くして亡くなり(34歳)、活動自体は長くない。でも恐ろしい数のレコーディングを残している。
私が最初に聴いたアルバムは、ピアニスト、Wynton Kellyの「Wynton Kelly!」だった。曲をコピーしていくうちにどんどんハマり、誰と一緒に演奏しているのかを調べ、次々に聴いていった。
たぶん有名なのは、Miles Davisのバンドでの演奏だと思う。

ジャズを聴き始めて間もない頃、Wynton Kellyのレコーディングの「枯葉」という曲のベースラインをコピーしていた。
ポール・チェンバースのラインはわかりやすく、そして、同じフレーズが何回も出てくる。けっこう間違ってる箇所もある。
ベースを始めたての私には心強い演奏だった。だって、同じ事を何回も弾いても、また、簡単な音を弾いても多少は間違っても、ちゃんと演奏は成立するし、かっこいい。

「なーんだ、いいんだこれで。私にも出来るかも♪」

だがしかし、そんなに簡単な話ではなかったです・・・

彼のベースがかっこいいのは、彼の「歌」「タイム感」が素晴らしいからなのです。
しかも。この一連のすごい演奏の時には彼はまだ20代前半という若さ!
マイルスも「若いが、なぜだかわからないが演奏は素晴らしい」みたいな事を言っていたとどこかで読んだ事があります。

ベースを弾いていて、難しいなぁ、と思う事は、「間」の取り方。あとは「タイム」。音楽って流れを「キープ」してればいい、というもんでもない、という事がわかりかけてきた頃から(はじめのうちは「キープ」さえも難しいのです)、ますますポールの演奏は素晴らしいと感じるようになった。もちろん他の偉大なベースプレイヤーの方々、みんなすごいです。
でも、何年もジャズを聴いてきて、鳥肌が立つほどすごい!と(私が)思う演奏のベースはPaul Chambersが弾いている。これってすごいよなぁ。ビートの進み具合、タイム、音色、どれをとっても他とは違う。

リーダーアルバムは5枚だが、それ以外に、とにかくたくさん録音している。
何人ポール・チェンバースがいたのか、と思うぐらい。
結局彼は大量の飲酒、ドラッグが原因で亡くなっている。そうでもしなけりゃ、あんなに録音できないよなぁ・・・。
正気じゃ無理なほどのオーバーワークだったんだろうな。
10月末にアメリカで、ポール・チェンバースの伝記のような本が出版されるようで、とても楽しみにしている。英語だから、どこまで理解できるかわからないけど。どんな人だったのか、いまから読むのが楽しみです。


Paul Chambers


おすすめCDのひとつ、「We Three」(1958)
これはドラマー、Roy Haynesのリーダーアルバム。右のでかい人がポールさんです。
ジャズの醍醐味をじっくり味わう事のできる、名盤中の名盤(と思う)。
Roy Haynes (drums)、Phineas Newborn, JR (piano)、Paul Chambers (bass)


「We Get Requests」(1964)
Oscar Peterson (piano)、Ray Brown (bass)、Ed Thigpen (drums)
これは歴史的な名盤と思う。ベーシスト的な意見ですが、レイ・ブラウンは本当に音選びがスマート。
私はこのトリオの演奏をよく聴きました。ボーカルと一緒に録音しているもの(「Ella&Louis」は涙ものです)も大大好きです。

ご意見・ご感想など、下記よりお気軽にお寄せ下さい。

1件のコメント

はじめまして。ジャズを聞いて40年になるシロウトです。でも。
ベースは何たってpaul hambers ですよね♪
you tube でwynton kellyと演奏している動画をみて感激のあまり泣いてしましました。歳はとりたくないものですね・・・
私の場合、chembers病の初期症状?は、パーソネルの名前に(b)paul chambersと書いてあるのを買い漁る状態でした。どれを聞いても、♪最高♪で浮かれていたのを思い出します。
慢性疾患となった今は多少荒っぽい弓も大好きです。
 お話では「間違えて弾いているのになぜかちゃんと成立している」というのが興味深かったです。
今では「GO!」や「BASS ON TOP」そして幾多の演奏より
ガーランドのグルービーに入っている2曲目、gone again を自分のテーマ曲にしています。
ガーランドとチェンバースが、心地良さそうに、いささか逸脱しているような演奏がたまりません。

いつの日か若林さんのBASSをliveでお聴きしたいものです。

by gone again - 2013/11/03 7:19 PM

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若林 美佐
若林 美佐

わかばやし・みさ/ジャズでは珍しい女性ジャズベーシスト。奈良県出身。小学3年生から打楽器を始め、大学生の頃にジャズベースに興味を持ちエレキベースを手にする。一旦は就職し、真っ当な社会人生活を送るも、「ジャズベーシストになってみようかな・・・」という思いから退職し、ウッドベースを習い始める。同時に(強引にも)プロミュージシャンとして活動を開始。2002年にはNYに渡米。帰国後、活動拠点を関東に移し、現在は首都圏、関西を中心にライブ活動中。

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