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ジャズベーシストが語る超私的JAZZのはなし

2012-12-12
ジャズを聴きに行こう

ジャズクラブは怖くありません。入ってみればけっこう楽しいところです。

友人からもよく、ジャズを聴いてみたいけど、どこへ行けばいいのかわからない、お店のシステムがわからない、と言われる。
確かに。
私は大学生の頃にちょっとジャズに興味を持ち、大阪の上本町にあるとある老舗ジャズバーに入ろうとした事があった。
大阪のジャズ関係者なら誰もが知る、上本町6丁目の地下鉄から地上へあがる階段の途中にある店。オーナーがベーシストという事もあり、かなり後に、このお店でバイトすることになるのだが、20歳そこそこの若い私には、このお店はかなりハードルが高かった。
今は若干おしゃれになっているが、昔はドアは真っ黒、しかも変な女の人の絵が書いてある(あとでわかったけど、ビリー・ホリデイでした)。何度も店の前に行ったけど、中に入るまでに10年の月日を要した・・・。

最近ではカフェのようなお店も増えたが、ジャズクラブ、ジャズバーって入りにくいかも知れない。あえてマニアックなお店に挑戦してみよう、という人ならともかく、30代、40代の女性の方などは入りにくいのではないでしょうか・・・。

演奏する側としては、お客様の中に女性の同世代もしくはそれより下、女性でなくても若い男性が聴きに来て下さると本当に嬉しい。
誤解を恐れずに言いますが、ライブを聴きに来て下さるお客さまは年配の方が圧倒的に多いです。もちろん、来て下さって嬉しいです。私たちなどよりジャズに詳しく、お客様から勉強させて頂く事は山ほどあります。
でも、もうちょっと若い人にも生の演奏を聴いてもらいたい。
これはミュージシャンの切実な願いだと思う。

この間、そこそこ入りやすいジャズバーでライブした時の事。
30前ぐらいの若い女性が一人で聴きに来てくれていました。嬉しくって声をかけたところ、「ありがとうございます!ひとりでどうしていいかわからなくて、困ってたんですーーー」って言っていました。ジャズに興味があって来てはみたものの、ライブ中にどうしていいかわからない、お店のシステムがわからない、ジャズ初心者は何のCDから聴けばいいのか・・・とのこと。

まずどこに聴きに行けばいいのか。
東京にはたーーーくさんジャズクラブがあります。私は最初東京にジャズを聴きに行っていた時は「ジャズライフ」という雑誌の一番後ろに載っている、ライブハウススケジュール、というのを参考に聴きに行っていました。
後は「ジャズナビ」というサイト。これはもの凄く便利。ジャズに関するあらゆる事が検索できます。ミュージシャン紹介のページもあるので、見てみるといいと思う。
後は行ってみるしかない。有名どころ(新宿PIt Inn青山Body&Soul六本木Alfieお茶の水ナル、などなど)に行けば、外れなくクオリティの高い演奏が聴けると思う。もちろんそれ以外にもたくさん良いクラブはあります。個人的には演奏するのは私は狭い店が好きです。

お店の料金システム。
ほとんどのお店がミュージックチャージと飲食代。
チャージは演奏に対しての、コンサートで言うチケット代のようなもので、お店によって違うけど、東京だとだいたい1,800円~5,000円ぐらいだと思う。
Blue Note Tokyoだと8,000円~です。

演奏中はどうすればいいのか。
ジャズはほとんどが即興演奏。まずメロディを演奏、その後それぞれのミュージシャンがソロを取る、という場合が多い。それぞれのソロの後に拍手なんかして頂けると、演奏者も盛り上がります。飲食はもちろん続けていただいてて構いません。どんどん飲んで食べてて大丈夫。

だいたいのお店が入れ替えなく2~3ステージ演奏します。ずっといてもいいし、1ステージだけ聴いて帰っても可。ほとんどの場合、何回ステージ聴いてもミュージックチャージは変わりません。

普段ジャズを聴かない方が聴きに来てくれるとミュージシャンとしてはもの凄く嬉しい。お店も、それぞれに個性があって楽しいものです。だいたい、ジャズバーのオーナーって変わってる(失礼!)けど、仲良くなってみると、楽しいし、いろんな話が聞ける。

是非是非一度足を運んでみてくださーい。

ご意見・ご感想など、下記よりお気軽にお寄せ下さい。

1件のコメント

ジャズバーのこと詳しく書いてくださって
ありがとうございます。
今は,とんでもなく高齢のジジイなのですが,
若い時(14,15歳)から
ジャズが大好きで,そのまま歳を重ねてきました。
若造,それも特に若い女性はジャズの醸し出す
雰囲気が大嫌いなのか?!自分は例外なのか
いつも気になってきました。
なるほど女子会で群れてキャッキャいってる
女の子がほとんどと思いますが,たった一人で
入店する子もいたのですね。
これからもこんな素晴らしいサイトをぜひ
お続けください。

by おっさん - 2015/07/07 11:39 AM

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若林 美佐
若林 美佐

わかばやし・みさ/ジャズでは珍しい女性ジャズベーシスト。奈良県出身。小学3年生から打楽器を始め、大学生の頃にジャズベースに興味を持ちエレキベースを手にする。一旦は就職し、真っ当な社会人生活を送るも、「ジャズベーシストになってみようかな・・・」という思いから退職し、ウッドベースを習い始める。同時に(強引にも)プロミュージシャンとして活動を開始。2002年にはNYに渡米。帰国後、活動拠点を関東に移し、現在は首都圏、関西を中心にライブ活動中。

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