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編た |
塩屋さんのベースになっているものは何ですか?
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塩屋 |
僕がはじめて映画俳優になろうと思った頃、アル・パチーノやダスティン・ホフマン、ロバート・デ・ニーロらが世界中を席巻していたんですよ。作品でいえば、『ゴッドファーザー』や『タクシードライバー』『ディア・ハンター』『レインマン』…。そこからもらったものがすごく大きくて。彼らが出演していたアメリカ映画はめちゃくちゃ社会派なんですよ。
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編た |
その時代を映し出す役者、作品ですね。
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塩屋 |
社会事象から抽出した題材にエンタテインメントを息づかせていったのがアメリカニューシネマ。それこそ、僕が最も薫陶を受けたクリエイティビティの源泉なので、そのスタイルは変わらず貫きたい。エンタテインメントは人と社会を映すものでなければ、真実味に欠ける。ただ楽しいだけじゃ残らない。
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編た |
その映像、その物語を観たことで、何か価値感が揺らぐというか、見つめ直すというか、漠然とでも考えさせられるところがない映画はたしかに、二度三度観ることはないですね。
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塩屋 |
人間も社会も世界も、真実はひとつでは決してない。たとえば環境資源をテーマするとしても、その「無駄」がどのくらいの人を救済できるのか?という見方もできるし、その「無駄」によってどれだけの人が犠牲になっているかを描くこともできる。
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編た |
観る人の想像力にゆだねられる。
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塩屋 |
その通り。今、小説家や映画作家が育ちにくいと言われているけれど、それはレディメイドなものがあまりにも横行しているので、享受することに慣れている。自分から作り出す、生み出す意欲がなかなか沸いてこない。根源的な欲求が持てない。
あと、ちょっと話がズレるけど、たとえば携帯とか、ときどき頭にきません? 「なんでお前が俺の人生をこんなにも左右するんだ!」って(笑)。
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編う |
わかります! わたしはパソコン。
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塩屋 |
もともと我々は生きることを円滑に、豊かにするために機械やコンピュータをつくってきたのに、逆転してないか?って思うんです。ドコモやソフトバンクに、我々は完全に奴隷化されてないかって(笑)。
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編う |
なんでだろ、そういうことに気づく時間がないのかも。
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塩屋 |
正しいと思いますね。僕は日本中、世界中に行くことが多いのですが、外から見てみると東京の都会のスピード感が目に見えてよくわかる。日の出とともに畑に行って、作業して、日の入りとともに戻ってきてというリズムが、じつは一番人間にとってあたりまえに幸せなことなんだろうなと、思いますよ。
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編た |
それこそ間違えたり、失敗したりしても、取り戻せる時間があるって、なかなか思えないのが時代のスピードなのかもしれないですね。立ち止まったら取り残される、みたいな。
あと、塩屋監督にも聞いてみたいんですけど、salitote11月の特集「スピリチュアルは逃げか救いか?」について、どう思われますか?
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塩屋 |
どうしてそういう世界が好きかというと、はっきりしてますよ。
みんな疲れてるんですよ。僕はいいも悪いもなく、まったく興味ないですね。そんなもん、自分で勝手にやれよという感じ。占いでもなんでも、いいと出た日は利用して、悪い日は関係ないと思えばいい。人生は自分で決める、自分でやる。それしかない。
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編う |
なるほど、そうですよね(苦笑)
でもなぜ、みんな疲れちゃったんですかね。
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塩屋 |
日本人は「生きることは何か」という本来あるべき問いかけをずっとやってこなかった。日々の生活に関係のないことは考えず、ひたすら忙しく働いてきた。
だから戦後復興、高度経済成長を遂げ、豊かな今がある。
でも、敗戦後から今までずっと、日本人はアメリカンカルチャーのグッド&バッドを受け入れ、政治も経済も全部アメリカに向いていた。それが、9.11とリーマンショックで終焉を迎えた。でも歴史は繰り返す。そのアメリカが破綻したときに、日本はどれだけ自分たちの力で生きていけるのか。
次の映画は、まさに日本人のあるべき姿を探っていく作品なんです。
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編た |
え、もう次の作品を撮られてるんですか!
それはどういうストーリーなんですか?
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塩屋 |
都会の金融経済ビジネスの最前線で生きていた男がボロボロになって逃避して、ある田舎のおじいさんに出会い再生していく話なんです。それをコメディで、林業、水産業の三部作シリーズで、撮影制作に10年かけてじっくり撮りたいと思っています。
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編た&う |
楽しみにしています!
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3件のコメント
いいね~。塩屋さんから平川さんってこんな贅沢ないのでは?
もう一度みたい!
次の作品も楽しみ。
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