salitoté(さりとて) 歩きながら考える、大人の道草ウェブマガジン

鳴るがまま

2011-02-2
今日の1枚

The La’s “The La’s”(1990)

ここ10数年は手軽さからアナログ盤ではなくCDに手が伸びてしまう。たまに知り合いのバーなどでアナログ盤を聴く機会があると音の良さを再認識するんだが…。今日のテーマ、The La’sの”The La’s”というアルバムがリリースされた1990年ごろはまだアナログ盤もかな買っていて、このアルバムもそうだった…。が、引越だのなんだで肝心なプレイヤーが手元になく、聴く事ができない盤が多数。少しずつ買いなおしていて、こないだ無性にThe La’sが聴きたくなったので渋谷のCDショップへ。

10年ぶりくらい?に聴いてみる。やっぱり素晴らしい作品です。平たく言うとビートルズ、キンクス的な匂いの楽曲で、アレンジの成り立ちもドラム+ベース+アコギ+エレキギター+ヴォーカルで当時は、ネオアコに括られることが多かったが、一連のそういったサウンドより無骨でエッジが立った男臭さ(汗臭さ?)がある。といってもやはりイギリスのバンドらしいちょっと刹那く、クールな匂いもありかなり好きでした。

The La’s、残念ながらアルバムはこの1枚しかリリースされておらず解散してしまっている。その後、再結成して2005年の本国の大きなフェスに出演しているらしいが、リリースの音沙汰は無し。活動期間中も中心の2人のメンバー以外は入れ替わりが激しかったようで、なかなか気難しいバンドのようです(笑)。このアルバムがリリースされるまでにも紆余曲折(レコード会社とアーティストの衝突)があったらしい。契約してから制作に入ってもメンバーが出来に納得せず、なかなか進まなかったようで、しびれを切らせたレーベル側がセルフプロデュースを望むバンドに対して、スティーブリリーホワイト(U2、ローリングストーンズ、ピーターガブリエルなどをプロデュースした御大)を起用してこのアルバムを制作したらしい。しかし、やはりバンドは出来上がりに納得しないまま、レーベルが半ば強引にリリースしたようだ。アーティストの思惑とは違う作品なのかもしれないが世の中では評価された。

ものづくりや仕事は、最終的な結果ももちろんだが、関わる人たち道中の気持というのがとても大事。ただ、全員が自分の思いだけをぶつけていたら物事は進まないわけで、どこかで折り合いを着けなければならない。それを無意識にできる人もいるのかもしれないが、そうでない人も多い。僕にとってもそのあたりのバランスを取るのはいつも難しいと思う。

まあそんな当時の状況もパッケージになって流通して、しかも20年も立ってしまえば臭ってこないわけで(笑)、とにかく名盤なのでご存知ないかたは聴いてみて下さい。ブルージーで、ロックンロールで、刹那くてポップで、アコギとリッケンバッカーのザクザク感。捨て曲なしの良いメロで、どの曲も3分ほどのブリティッシュ感満載のギターポップ。グッドミュージックです!

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yutakakaburaki (Bon Voyage)
yutakakaburaki (Bon Voyage)

鏑木裕(Bon Voyage)/ミュージシャン 1月生まれのためか暑いのは苦手、食べることが好き。自身のユニットBon Voyageでの活動や、様々なアーティストや、映像• 環境音楽などに携わる。今の世の中における音楽の在り方を否が応にも考える今日この頃。