salitoté(さりとて) 歩きながら考える、大人の道草ウェブマガジン

鳴るがまま

2010-10-12
散歩日記

10月にもなりずいぶん涼しくなってきたので久しぶりに近所の森へ。森と言っても結構アップダウンがあり山道さながら。小一時間歩くことになるので無通勤の僕には丁度いい運動です。

入口の階段を登って行くと森の空気はすっかり秋のよう。自然に囲まれると確実に季節の移ろいを感じる。夏の間に森は鬱蒼として、ただでさえ狭い路がさらに狭くなった感じがする。森の中には広々した場所もなく、あまりひらけた森ではないせいか、あまり人もおらず今日みかけたのも先を歩いていた犬の散歩のご婦人のみ。追い越す僕に道を開けてくれたので「すみません」、「こちらこそ」のやりとり。そういえば山へ行くと見知らぬ人にもしぜんと挨拶できるが、あれは山へ行ったらそういうもの、という刷り込みがあるからだろうか、はたまた自然の力か。いずれにしろ気持ちの良いことだ。他人に声をかけるのがはばかられる街て、なんだろう。他愛のないことを考えながら頂上(?)に到着。天気がよければ富士山が綺麗にみえるのだが、この日はあいにくの曇天のため稜線すら見えず。故郷は遠くにありて思うもの、ではないが僕はどうも火山が苦手です。遠くで見てる分にはいいんだが、火山周辺のあの異様な雰囲気とかプラスかマイナスかよくわからないあのパワー感が畏怖な感じでなんとも。

そんな景色を横目に下り道をしばらくいくと、一匹の黒猫が草むらから僕の前に出てきた。首輪はしていないが綺麗な毛並。時折立ち止まってはこちらを振り返り、また歩き出す。まるで導いているように。本人はただ警戒しているだけなんだろうが。ともかくこちらを確実に意識している。誰もいない場所での一匹の猫の存在感は街中とはちがうな、と思いながら後ろを歩いていくと、さっと藪のなかに入ってしまった。猫がいなくなったあたりから藪のなかを覗くが、もう姿はなかった。もう僕のことは忘れてるんだろうな、とか、しばらく黒猫のことを考えながらあるく。

「ありがたい」とは「有ることが難しい」わけで、文字通り都市部に住んでいて近くにこういう場所があるのは本当にありがたい。家に着くころには体もほぐれていい感じ。

さて、音楽の時間。

ご意見・ご感想など、下記よりお気軽にお寄せ下さい。

コメントはまだありません

まだコメントはありません。よろしければひとことどうぞ!

コメントする ※すべて必須項目です。投稿されたコメントは運営者の承認後に公開されます。


コメント


yutakakaburaki (Bon Voyage)
yutakakaburaki (Bon Voyage)

鏑木裕(Bon Voyage)/ミュージシャン 1月生まれのためか暑いのは苦手、食べることが好き。自身のユニットBon Voyageでの活動や、様々なアーティストや、映像• 環境音楽などに携わる。今の世の中における音楽の在り方を否が応にも考える今日この頃。