salitoté(さりとて) 歩きながら考える、大人の道草ウェブマガジン

そらのうみをみていたら。

2011-01-29
桃井かおりさんの初体験『光男の栗』

なんとなく、気になっていた映画監督の河瀬直美さんのサイトをみていたら、今日(1月28日)、ポレポレ東中野でトークイベントがあるのを見つけた。奈良在住の河瀬さんが東京に来てるんだ〜とぼんやり思っていたら、なんとゲストは桃井かおりさん。
ポレポレ東中野って、けっこう小さい劇場だけど、なんだろう、このメジャーとマイナーの入り交じった感じは…と調べてみると、桃井かおりさん主演の『光男の栗(みつおのくり)』がプレミアム上映されるようだ。
『光男の栗(みつおのくり)』は、奈良を世界へ発信するべく企画された映画製作プロジェクト、NARAtive(ナラティブ)開催「なら国際映画祭」第1回の上映作品。プロジェクトの顧問を務める河瀬直美さんがプロデュースしている。

今ポレポレ東中野で公開されている中国映画「ジャライノール」の趙曄(チャオ・イエ)監督の最新作が『光男の栗(みつおのくり)』なのだ。

トークイベントは、なぜ桃井さんがこの映画に出演することになったのか、というお話からはじまった。
まずは、河瀬さんと趙曄(チャオ・イエ)監督の出会いから。オーストラリアの映画祭に審査員として参加していた河瀬さんは、そこで趙曄(チャオ・イエ)監督とたまたまカンガルーツアーに行くことになり、真摯にカンガルーを撮影している姿を見て、なら国際映画祭で撮らないかとスカウト。快諾した趙曄(チャオ・イエ)監督の要望は、桃井かおりさんの出演。河瀬さんは、「自主制作だし桃井さんと友だちでもないし」と思い、スタッフ一同、いやいや、それは…と話していたそうだ。それでも、担当の助監督が企画書を作成し、ダメもとでファクスを送った2時間後。桃井かおりさんご本人から電話がかかってきたという。
桃井さんはたまたま日本に帰国していたタイミングだった。以前から河瀬さんのことを「おもしろいことしてるなあ〜私に声かけてこないかしら?」と思っていたそうだ。さらに、NARAtive(ナラティブ)の主旨にも賛同して、ぜひ演いたいと。

河瀬さんの監督作品は、奈良に生きる一般の方が出演する。趙曄(チャオ・イエ)監督も「ジャノライノール」は俳優ではなく、友だちや家族が出演しているそうだ。『光男の栗(みつおのくり)』も、桃井さん以外は奈良の住人。桃井さんは、素人なのにあんな演技(カンヌ国際映画祭グランプリ受賞『殯(もがり)の森』主演も奈良の一般人)をするのが悔しくて、どうしたら素人よりも素人らしくいい演技ができるかと考えて、みんなと同じように扱ってほしいと注文をした。
すると、台本を渡されず、決まった台詞は「青いトラックを見ませんでしたか?」のみ。実際、ドキュメンタリー映画を見ているようなリアル感だった。それは桃井さんにとって初めての体験だったそうだ。

今回、『光男の栗(みつおのくり)』は初めて東京で上映された。たった1日だけ。桃井さんは、取材のたびに、この映画のことを話し、どこかで上映できないものかと相談しているという。トーク中も、ポレポレ東中野の方にお礼をいい、「ちょっとでも空いている日があれば、上映してもらえないかな? そのときは、日本にいたら、桃井つきでね」。とも言っていた。
体にしみていく感じの映画で物語を追うタイプのものではない。そんなにヒットするものではないかもしれないけれど、心になにか残る。栄養になるようなものが入っているし、それを大事にしたい。
おふたりがこの映画のことを伝えることばは、しんしんと心につもって、その景色はなつかしく、確かだった。

それは、『光男の栗(みつおのくり)』にある風景。

「なら国際映画祭」桃井かおりさん応援メッセージ

ご意見・ご感想など、下記よりお気軽にお寄せ下さい。

コメントはまだありません

まだコメントはありません。よろしければひとことどうぞ!

コメントする ※すべて必須項目です。投稿されたコメントは運営者の承認後に公開されます。


コメント


魚見幸代
魚見幸代

うおみ・ゆきよ/編集者。愛媛県出身。神奈川県在住。大阪府立大学卒業後、実家の料理屋『季節料理 魚吉』を手伝い、その後渡豪し、ダイビングインストラクターに。帰国後、バイトを経て編集プロダクションへ。1999年独立し有限会社スカイブルー設立。数年前よりハワイ文化に興味をもち、ロミロミやフラを学ぶ。『漁師の食卓』(ポプラ社)

そのほかのコンテンツ